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初心を振り返る重要性

仕事をする中で日々思い通りに行かない事・不満な事は沢山ある。
そのような時、初心に戻り「なぜ今の仕事をしているのか?」を振り返ると自然とパワーを貰えるものです。
今回は「初心を振り返る重要性」について私自身の過去の備忘録の意味合いも含め書き記します。

【医療機関への入職のきっかけ】
 父の仕事が公務員という理由から漠然と大学生の時は公務員試験の勉強をしており将来の仕事は公務員と決めていた。
就職活動も一切行わずただただ毎日大学の図書館でひたすら勉強に明け暮れる日々。
大学4年時、公務員試験は全て落ち、周りの友人は就職先の内定をもらい卒業旅行で残りの大学生活を満喫している中、
私だけ「来年どうしようかな・・・」と途方に暮れていた。
そのような状況の中、たまたま友人から「医療機関は新卒の募集時期が遅いから今からでも病院の就職を検討してみたら」という話をされた。
 今思えば、なぜこの一言だけで医療機関への就職を考えたのかは分からないが、医療機関への就職を決心した一つのきっかけである。

【新卒入職後~医療現場のリアルを目の当たりにして~】
 友人に薦められ医療機関のHPを拝見し、求人を出していたのが最初の就職先である総合病院であった。

運良く就職が決まり、新卒での入職1年目、私は医事課の新患受付のリーダーとして配属された。

私の当時の主な担当業務は、
○新患受付と個人情報の登録(氏名や生年月日・保険情報・住所等)
○救急車搬送患者とその家族の対応
○交通事故請求業務
の大きく分けて3つが主な業務であった。

この医療機関では、救急車のサイレンが聞こえると救急車が病院に到着する前に事務職員も病院の外に出て救急車の受け入れを待ち、患者が病院内に搬送されるとすぐに救急隊員や付添いの方から搬送患者の名前・生年月日等の個人情報を素早く収集し、急いで医事コンピューターへ患者登録を行う流れになっていた。

私の「医療人」としての自覚が芽生えた原点。
それは入職して数ヶ月が経った頃の出来事で今でも鮮明に覚えている。 

 ・・・

 日々の業務が一段落した夕方、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
当直者との引き継ぎをする前であったが、「この救急車対応まで自分が対応しよう」と病院の外で救急車の受け入れを待っていた。

救急車が到着し、救急隊員が降りてくるやいなやとても慌ただしい。
搬送患者の家族と見られる方が1名となぜか一緒に警察官も同乗している。

私は搬送患者を見て今までに見たこともない壮絶な光景を目の当たりにした。
搬送患者の容態は搬送されてきた時点でCPA(心肺停止)、手足は曲がってはいけない方向に曲がり、骨は剥き出し、頭蓋骨は陥没、全身の出血がとても酷かった。
素人の私でも助かるのは難しいのではと思ったほどだ。
救急隊員から話を聞くと病院のすぐ近くで車にはねられた交通事故の患者であった。
搬送されて数十分ほどだろうか、最善を尽くしたが、結果助からなかった。
40代の女性だった。
その後、他の患者家族も病院にかけつけ、ER室へ患者家族全員を案内し、その場で医師が家族に対して最善を尽くしたが助ける事ができなかった事を告げた。
家族はその場で泣き崩れ、亡くなった患者に対して「戻ってきて!」と何度も何度も叫んでいた。
見るも無残な亡骸に対して、患者家族は何度も何度も身体を揺さぶっていた。
よくテレビで見るあの光景である。

今でも忘れる事ができない、私が初めて医療の現場で患者の死に直面し「リアル」を体験した瞬間でもあった。

その後、私は壮絶な現場を見た影響で放心状態でありながらも交通事故の請求の対応(今後の請求方法の流れの確認や加害者の情報収集等)をせざるを得ない状況であったため、患者家族の元へ話を伺いに行った。

〈患者家族〉
「あなたは若いね。新人の事務職員さん?医者でも看護師でもないのになぜ事務職員がこんな壮絶な状態で運ばれて来る患者の対応をしているの?」

〈私〉
「はい。救急搬送されてきたらすぐに医師や看護師が電子カルテへの記録を1分1秒でもはやく入力ができるよう搬送患者の情報を素早く収集し、コンピューターに登録する事が今の私のできる最大限の仕事だからです」

〈患者家族〉
「そうだったのね。だからあなたは搬送されてきた直後から慌ただしく仕事をしていたのね。今回は助からなかったけど、助ける為に皆で協力をしてくれていたんだね。ありがとう。
また、新人の事務職員がこんな壮絶な現場を見て、真っ先に搬送患者の対応をして、病院の為に頑張っている事も初めて知る事ができました」

「病院は医師や看護師だけで成り立っていないんだね」

・・・

身内である家族を亡くしたばかりにも関わらず計り知れない絶望感の中、患者家族からとても愛のある言葉を頂いた。
患者家族の前では泣いてはいけないと必死で仕事が終わるまで涙をこらえ、
通常の何倍もの時間をかけて泣きながら自宅に帰った事を今でも思い出す。

病院事務職員は患者の為に直接的に治療や処置を行う事ができるわけではない。しかし、新人で仕事もままならない中でも時には患者家族からも感謝される仕事だ。それはある意味「医療」特有なのかもしれない。
この時初めて医療サービスは対個人だけではなく、その周囲の家族までをも巻き込むとても価値のある仕事だと実感した。

 この患者家族からの言葉が病院事務職員でありながら「医療人」としての自覚を芽生えさせてくれた私の原点である。
今でも悩み疲れきっている時でも、ふとこの言葉を思い出し、初心を振り返ることで仕事が頑張れる。

【初心とは】               
 初心とは昔の自分と対話のできる「特別な時間」だと思う。
自由に振り返ることができ、時には思いを馳せ、時には仕舞い込む事もできる。
また、初心を振り返る事での一番の効果は「謙虚になれる」ことだと思う。
未熟であった頃の自分を思い浮かべ対話をし、明日からまた頑張ろうという活力にもなる。

 仕事をする中で日々思い通りに行かない事・不満な事が沢山あった時、少しだけ自分を見つめ直す時間を作り昔の自分と対話をする事も良いかもしれない。

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