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医療事務に必要な局面を見極める視点〜医療事務職のキャリア形成〜


【背景】

 医療制度の急激な変化や人口構造の変化に伴い病院経営における各部門の役割は重要性を年々増すばかりである。その中で医事部門も病院経営の一翼を担っている。
私自身、病院事務職として入職をして約10年経つが入職当初より医療業界全体の「病院経営」に対する意識は少しずつ変化してきていると感じている。
しかし、医療機関で千差万別はあるものの医事部門のみに焦点を当てると、医事部門の在り方や存在意義、医事課職員のマインド等は昔と今とではさほど変化がないのではないかと個人的には感じている。
 今後医療業界は2025年問題をはじめ様々な問題に直面する。
より厳しい社会情勢や業界動向の中で医療事務にも「対局を見極める視点」が今とても重要だと感じている。

 今回は病院経営における医療事務職(医事部)の役割や重要性、そして今後必要とされてくるであろう事を個人的な見解も含め以下に書き記す。


【病院経営における医事部門とは】

 医事部門は医療機関により立ち位置は様々であるが、病院経営を担う重要な部署である事に異論はない。特に診療報酬等のレセプト請求を唯一行う点において病院の収入を司る部署として明確なポジションを担っている。
他にも返戻・査定・施設基準の届出管理等、業務内容も幅広い。
 また、医事部門は病院事務職の中でも患者対応を行う唯一の事務職とも言える。患者が来院し主に最初と最後に対応をするため接遇がとても重要な部署としても位置付けることができる。

【医事部門の役割~現在~】

 現在の医事部門は主にどのような役割を担っているのかを考える。
今までの医事部門は基本的に受付関連業務やレセプト請求業務を行うのみで良かった。
所謂、世間がイメージしているような一般的な医療事務業務といえる。
受付、計算、会計等、「病院の顔」とよく言われる業務である。
この認識は決して間違いではなくほぼ正解ではある。
しかし、「病院の顔」と呼ばれる業務以外にも医事部門を支えている業務は数多く存在する。ここでは「病院の顔以外の業務」と呼ぶ事とする。
例えば診療行為の統計や医事データ分析、査定管理、施設基準管理、医事コンピューターのマスタ設定管理、各機関への提出資料作成等である。
時代背景に伴い今後は「病院の顔」と呼ばれる業務以外の「病院の顔以外の業務」が医事部門のスタンダードとなる事が予想される。
上記業務にどれだけ+αの付加価値を付ける事ができるかが医事部門として鍵となる。

【医事部門の役割~未来~】

 次に今後どのような医事部門が求められてくるかを考える。
まず、上記でも述べたように第一にAIのさらなる進展を受け、今まで当然のように行ってきた「病院の顔」の業務は大幅に代替される事が予想される。
特に受付業務に関しては現に自動精算機や再来受付機等の自動化も少しずつ進み、新たに導入されるオンライン資格確認システムの導入も少なくとも人材の代替や業務効率化へ拍車をかけると予想される。
また、今までの医事部門の一番の”ウリ”の一つであったレセプト請求業務さえも今後大幅に業務負担が減る事が予想されておりAIに取って代わられる可能性は高い。
だとすれば医事部門の一番のウリがなくなれば部門の存在意義も問われかねない。
請求関連業務に関する知識やスキルをいくら高めてもAIに代わられる可能性が高いのであれば、今後如何に医事部門の業務に付加価値をつけるかが重要となってくる。
 これからの時代は従来の医事部門をより専門特化した部門とするのか、従来の医事部門の業務を大幅に広げ組織横断的な役割まで担うのかを今まで以上に真剣に判断する局面に差し掛かっていると言える。

【医療事務の二極化】

 組織として部門全体の方向性を決める事も大事ではあるが、一方で個人のキャリアやマインドの方向付けもとても重要となってくる。
今後必要となる視点の一つとして将来の医療事務員像は「医療経営特化型医療事務」または「接遇特化型医療事務」の二極化がより一層進むと個人的に考えている。
従来の経営企画部門の業務であった企画業務・経営分析業務・提案業務・組織マネジメント等を主とした医療経営に特化した医療事務を目指すのか、従来の医事部門を継承しつつ人だからこそできる温もりや温かさを活かした患者サービスや接遇に特化した医療事務を目指すのか。

 どちらのキャリアを目指すにしてもメリット・デメリットがあるが、優劣があるわけではなく自身の将来のキャリアプランや在りたい姿を見据えて決定する事が重要である。以下簡単にまとめる。

◆◆医療経営特化型医療事務◆◆
〈メリット〉
・時代背景に伴い従来の医療事務より需要が増える
・昔ながらの「医療事務」の枠組みから抜け出す事で視野が広がる

〈デメリット〉
・高度で幅広い専門知識やPCスキル等が必要になる
◆◆接遇特化型医療事務◆◆
〈メリット〉
・人としてだからこその価値ある患者サービスや接遇、おもてなしができる

〈デメリット〉
・医療機関の方針に左右されやすい(配置等)
・代替されやすい
・他職員との差別化が難しい(接遇力は数値化が難しい等)


【まとめ】

 現在コロナウィルスの蔓延により医療業界はさらに厳しい状況に陥っている。それは医療業界だけではなく全ての業界でも共通ではあるが、今このような状況だからこそ真剣に組織の部署のこと、自身の将来のことをしっかりと見据えキャリアプランを考える事が重要となる。
 時代背景に伴い無くなる仕事は沢山ある。しかし、その無くなりつつある仕事でも本当に自身がやりたい仕事であるのなら貫く事も一つの生き方。
いつの時代も自身が納得しやりがいを持って仕事に取り組む事が何よりも重要なこと。
 周りの環境や社会情勢全てが悪い影響をもたらしていると考えるのではなく、今の局面だからこそ最適な解を得る事ができるよう常日頃の準備が重要と言える。

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https://note.com/ru_ba_go/m/m29732909c391
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