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【課題解決・問題解決】05 プロジェクト プランニング 9ステップのすすめ


はじめに

アールツリー・イノベーション 辻隆盛です。プロジェクト プランニングを実践するプロジェクトリーダー皆様へのメッセージを記します。

課題解決に際しては、自らの経営資源を変革する施策を実行します。課題解決の施策を実行する方法のひとつとして、課題解決プロジェクトを組成し、推進する方法があります。

課題解決プロジェクトを組成するためには、プロジェクト プランニングが肝要になります。一方、プロジェクトを推進するためには、プロジェクトマネジメントが肝要になります。そしてプロジェクトマネジメントは、品質の高いプロジェクト プランニングのもとで機能します。

品質の高いプロジェクト プランニングを定めるには、先人達の知恵・技法を伝承し、自らで実践することがひとつの方法です。私は、1990年代から先人達の知恵・技法を学び、ビジネス構想策定およびビジネスデザインにおいてプロジェクト プランニングを実践してきました。

この記事では、私が先人たちから伝承を受けて、課題解決プロジェクト毎の特性に応じて活用し蓄積してきましたことを「プロジェクト プランニング 9ステップ」としてまとめました。

参考にしていただければ幸いです。


ビジネス構想策定におけるプロジェクト プランニング

ビジネス構想策定

ビジネス構想策定では、課題を分析し抽出した施策から課題解決プロジェクトを複数案プランニングします。その後に各々の課題解決プロジェクト案におけるプロジェクトリスクおよびプロジェクト投資価値を評価し、実行する課題解決プロジェクトを選択します。


ビジネスデザインにおけるプロジェクト プランニング

ビジネスデザイン

ビジネスデザインでは、実現すべき姿(To-be)を定義し、実現すべき姿を構成する経営資源の整合を検証します。検証した後にプロジェクトリスクおよびプロジェクト投資価値を再評価した上で、課題解決プロジェクト 実行計画をプランニングします。


プロジェクト プランニングにおける成果

プロジェクト プランニングでは、以下の成果をまとめます。

 施策スコープ
 プロジェクトスコープ
  プロジェクト成果物
  プロジェクトフェーズ
  プロジェクトプロセス依存関係
  プロジェクト・アクティビティ ステップ
 プロジェクト活動時間
 プロジェクトスケジュール
 プロジェクト体制
 プロジェクトステークホルダーへの活動
 プロジェクトリスクに対する対策


プロジェクト プランニング 9ステップ

プロジェクト プランニング 9ステップ

ビジネス構想策定およびビジネスデザインでは、プロジェクト プランニングを以下の9ステップで実行します。

 1.課題解決 達成目標および施策を理解する
 2.施策スコープを定める
 3.プロジェクトスコープを定める
 4.プロジェクト活動時間を見積もる
 5.プロジェクトスケジュールを定める
 6.プロジェクト体制を定める
 7.プロジェクトステークホルダーを分析する
 8.プロジェクトリスクを評価する
 9.プロジェクト プランニングをまとめる


プロジェクト プランニングで活用する技法

プロジェクト プランニングで活用する技法

プロジェクト プランニングにおいて活用する技法は、以下のとおりです。

 主要成功要因技法
 ビジネスファンクション定義
 ビジネスイベント分析
 ビジネス情報 モデリング(概念モデル)
 WBS構成要素分解
 プロジェクトフェーズ定義
 プロジェクトプロセス依存関係定義
 プロジェクト・アクティビティ ステップ定義
 プロジェクト活動時間測定法
 スケジュール・ネットワーク分析
 プロジェクトステークホルダー分析
 プロジェクトリスク評価


プロジェクト プランニングにおいて肝要とするポイント

プロジェクト プランニングにおいて肝要とするポイントを記します。


課題解決 達成目標を4つの要素で理解する

課題解決 達成目標 4つの要素

課題解決プロジェクトでは、課題解決 達成目標を4つの要素「主要成功要因」「評価指標」「目標値」「達成時期」で定めます。

主要成功要因とは、「目標を達成するために重要となるビジネス活動を言葉(キーワード)で表現したもの」です。

評価指標とは、「ビジネス活動における目標達成度を測るものさしのこと」です。

目標値とは、「評価指標毎に定める達成すべき目標の値のこと」です。

達成期限とは、「目標を達成すべき期限のこと」です。

ビジネス構想策定では、最初に主要成功要因を設定した上で着手し、最後に達成目標 4つの要素を定めて合意します。

ビジネスデザインでは、最初に達成目標 4つの要素を理解した上で着手し、実現すべき姿を定めて、実現すべき姿を構成する経営資源の整合を検証します。


課題解決プロジェクトを5つのレベルで可視化する

課題解決プロジェクト 5つのレベル

課題解決プロジェクトを5つのレベルで可視化し、プランニングします。

課題解決プロジェクトとは、「課題解決における目標を達成するために、有期で実行する活動を定めたもの」です。

プロジェクトフェーズとは、「意思決定ポイントおよび承認ポイントに基づき、プロジェクトを構成するプロジェクトプロセスを集約して定めたもの」です。このレベルで課題解決アプローチを定めます。

プロジェクトプロセスとは、「特定の成果および成果物を創出するために遂行する活動を定めたもの」です。プロジェクトプロセスをワークパッケージとも呼びます。プロジェクト活動時間を測定し、プロジェクトスケジュールを分析する単位になります。

プロジェクト・アクティビティとは、「プロジェクト活動における情報の収集、伝達、価値付加、保管、廃棄を定めたもの」です。

プロジェクト・プロシージャーとは、「プロジェクト・アクティビティにおける手順、スクリプト、シナリオを定めたもの」です。


変革する経営資源に基づき2つのスコープを定める

2つのスコープ

スコープ定義では、変革する経営資源に基づき、2つのスコープ 「施策スコープ」「プロジェクトスコープ」を定めます。

施策スコープとは、「課題解決プロジェクトにおいて対象とする経営資源の範囲のこと」です。

プロジェクトスコープとは、「課題解決プロジェクトにおいて創出するプロジェクト成果物の範囲および遂行するプロジェクトプロセスの範囲のこと」です。

経営資源 要素

施策スコープ定義では、課題解決するための実行する施策において対象とする経営資源の範囲を定めます。

施策スコープを、「調査・分析の対象とする範囲」および「施策実行の対象とする範囲」の2つに分けて定めることが肝要になります。

WBS構成要素分解 基本形

プロジェクトスコープ定義では、「プロジェクト成果物」「プロジェクトフェーズ」「プロジェクトプロセス」「プロジェクト・アクティビティ ステップ」を定めます。

プロジェクトプロセスは、WBS構成要素分解を用いて定めます。

WBS構成要素分解とは、「プロジェクト成果物の主構成要素を抽出し、構成要素を分解することにより、プロジェクトプロセスを定めること」です。

プロジェクトプロセスをもれなく抽出するためには、変革する経営資源の範囲に基づき、主構成要素を抽出することが肝要になります。

一連のプロジェクトフェーズ 基本形

プロジェクトフェーズ毎のプロジェクトプロセス依存関係

プロジェクトフェーズとは、「意思決定ポイントおよび承認ポイントに基づき、プロジェクトを構成するプロジェクトプロセスを集約して定めたもの」です。

プロジェクトプロセス依存関係とは、「プロジェクトプロセスの開始・完了順序、開始・完了条件などを定めたプロジェクトプロセス間の関係のこと」です。

プロジェクトフェーズ毎にプロジェクトプロセス依存関係を定めることにより、スケジュール・ネットワーク分析を用いてプロジェクトスケジュールを定めることが肝要になります。


プロジェクト・アクティビティ ステップを2つの要素で組み立てる

プロジェクト・アクティビティ ステップ2つの要素

クリエーション ステップ

コミュニケーション ステップ

プロジェクト・アクティビティ ステップとは、「プロジェクト成果物を生成する活動ステップおよびコミュニケーションを図る活動ステップを構成することにより、プロジェクト活動を定めたもの」です。
 
クリエーション ステップとは、「特定のプロジェクト成果物を生成する活動ステップのこと」です。分析アプローチおよび定義アプローチに基づき、クリエーション ステップを組み立てます。
 
コミュニケーション ステップとは、「プロジェクト関係者とコミュニケーションを図る活動ステップのこと」です。合意形成アプローチに基づき、コミュニケーション ステップを組み立てます。
 
プロジェクト・アクティビティ ステップは、2つの要素「クリエーション ステップ」および「コミュニケーション ステップ」で組み立てることが肝要になります。


プロジェクト活動時間を4つの測定法で測定する

プロジェクト活動時間 4つの測定法

プロジェクト投資コストを算定するために、プロジェクトプロセス毎にプロジェクト活動時間を測定します。

プロジェクト活動時間とは、「プロジェクト活動を遂行するために必要とする時間のこと」です。

プロジェクト活動時間測定法とは、「プロジェクトプロセス毎に定めるプロジェクト活動時間を測定する方法のこと」です。

アクティビティ時間測定法とは、「プロジェクト・アクティビティ毎に要する時間数を測定する方法のこと」です。

アクティビティ時間枠測定法とは、「プロジェクト・アクティビティ ステップ毎に要するアクティビティ時間枠数を測定する方法のこと」です。あらかじめアクティビティ時間枠当たりの時間数を設定します。ビジネス構想策定、ビジネスデザイン、ビジネステストなどのプロジェクト活動時間の測定に用います。

成果物数量測定法とは、「プロジェクト・アクティビティ毎に生成する成果物の数量を測定する方法のこと」です。あらかじめ成果物毎に生成に関する生産性を設定します。業務マニュアル作成、操作マニュアル作成などのプロジェクト活動時間の測定に用います。

ソフトウェア機能規模測定法とは、「情報システムの設計・構築に要するプロジェクト活動工数を算出するために、システムファンクション数、エンティティ数、属性数などを測定する方法のこと」です。あらかじめプロジェクトプロセス毎に設計・構築に関する生産性を設定します。ソフトウェアの特性に応じたソフトウェア機能規模測定法がありますが、その中でも著名なのはファンクションポイント法です。

課題解決プロジェクトを構成するプロジェクトプロセス毎の特性に応じて、適正な測定法を定めることが肝要になります。


プロジェクトスケジュールを3つの視点で分析する

プロジェクトスケジュール分析 3つの視点

課題解決におけるプロジェクトスケジュールを定めるために、プロジェクトプロセス依存関係およびプロジェクトプロセス毎のプロジェクト活動時間に基づき、プロジェクトスケジュールを分析します。

プロジェクトスケジュールを、3つの視点で分析します。

スケジュール短縮化とは、「活動期間を短縮するために、クリティカル・パス上にあるプロジェクトプロセスの生産性およびリソース投入量などを調整すること」です。

リソース平準化とは、「リソース投入量を一定にするために、プロジェクトプロセスの開始日および期間、チーム・フォーメーションなどを調整すること」です。

リソース円滑化とは、「リソース稼働を高めるために、プロジェクトプロセスが有する余裕日数を用いてリソースアサインメントを調整すること」です。

プロジェクトスケジュールは、スケジュール・ネットワーク分析を用いて定めます。

スケジュール・ネットワーク分析とは、「目標とする期間内にプロジェクト活動を完了させるプロジェクトスケジュールを、プロジェクトプロセス依存関係におけるクリティカル・パスを用いて分析すること」です。
 
スケジュール・ネットワーク分析において3つの視点でシミュレーションを行い、最適なプロジェクトスケジュールを定めることが肝要になります。


プロジェクトステークホルダーの関与度を4つの評価軸で評価する

プロジェクトステークホルダーの関与度 4つの評価軸

プロジェクトステークホルダーへの活動

プロジェクトステークホルダーとは、「課題解決プロジェクトの目標達成において直接および間接に利害関係を有する組織および個人のこと」です。

目標達成にむけて全てのプロジェクトステークホルダーがプロジェクトへ積極的に関与するとは限りません。

プロジェクトステークホルダー分析とは、「プロジェクトステークホルダーを特定し、関与度におけるギャップを分析することにより、プロジェクトステークホルダーのプロジェクトへの関与を促進するために行う活動を定めること」です。

分析の対象とするプロジェクトステークホルダーは、以下のとおりです。

関係するエグゼクティブ
関係する組織におけるミドルマネージャー
関係する組織における業務担当者
関係する他のプロジェクト

関与度とは、「プロジェクトステークホルダーのプロジェクトに対する態度、合意度、影響度などを示す度合いのこと」です。

関与度評価とは、「プロジェクトステークホルダーの望ましい関与度および現在の関与度を評価すること」です。

関与度評価で用いる評価軸は、以下のとおりです。

プロジェクトに対する態度
プロジェクトに関する合意度
担当するビジネス活動におけるプロジェクトへの影響度
他プロジェクトにおけるプロジェクトへの影響度

関与度ギャップ分析とは,「プロジェクトステークホルダーの望ましい関与度および現在の関与度にギャップが発生している場合に、その発生原因を分析すること」です。

プロジェクトステークホルダーへの活動とは、「プロジェクトステークホルダーの適切なプロジェクトへの関与を促進することを目的として、プロジェクトステークホルダーに対して行う活動のこと」です。

プロジェクトステークホルダーに対して行う活動としては、「説明する」「傾聴する」「報告する・相談する」「交渉する・説得する」「スキルを変更する」「役割を変更する」「リソースを変更する」「業績評価指標を変更する」ことなどです。

プロジェクトフェーズ毎にプロジェクトステークホルダー分析を実施し、プロジェクトステークホルダーに対して行う活動を見直すことが肝要になります。


プロジェクトリスクに対する態度を5つの態度で定める

プロジェクトリスクに対する5つの態度

プロジェクトリスクレベルとプロジェクトリスク態度の原則

プロジェクトリスクとは、「課題解決プロジェクトの目標達成に対する影響のこと」です。影響とは、「期待されることから好ましい方向および好ましくない方向に乖離すること」です。

目標達成にむけてプロジェクトリスクをマネジメントする必要があります。

プロジェクトリスク評価とは、「プロジェクトにおける目標達成に対するリスクを特定し、そのリスクの影響を評価することにより、リスクへの態度および対策を定めること」です。

プロジェクトリスクに対する態度とは、「プロジェクトリスクに対する対策を講じる方針および意向のこと」です。

プロジェクトリスクに対する態度の分類は、以下のとおりです。

リスク回避とは、「リスクを生じさせる活動を開始しないことまたは継続しないことを決定すること」です。

リスク追求とは、「リスクに関して詳細に情報収集、調査および分析を実施した上で態度を決定すること」です。

リスク共有とは、「契約締結、保険加入などにより、リスクを他者と共有すること」です。

リスク低減とは、「あらかじめリスクの起こりやすさおよび影響を減ずるための対策を講じること」です。

リスク保有とは、「リスクの状況を監視し、リスクが顕在化した場合に対策を講じること」です。

「リスク低減」としたプロジェクトリスクについては、プロジェクトリスクマネジメントの対象として、対策を講じることが肝要になります。


【次に参考にしていただきたい記事】

以下のマガジンでは、プロジェクト プランニングに関する方法論・技法について解説しています。ご参考になさってください。

r.tree ビジネスデザインのすすめ プロジェクト プランニング
https://note.com/rtree_b_design/m/m0d69dbdc0a64



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