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ダイレクトリクルーティングは人材紹介を駆逐するのか?
こんにちは、RtoRの井川です。
先日、某大手エージェントの経営者の方とランチをご一緒させていただきました。その際に話題に上がったのが、「ダイレクトリクルーティングがどこまで広がるのか?」ということでした。
この問いに対して、結論から申し上げると、「我々がメインターゲットにしているミドルクラス以上の即戦力層における転職マーケットは人材紹介の方がしばらく有効である」というのが共有した認識でした。
では、その理由や今後の展望などについて考えてみたいと思います。
「スカウトサイトを利用したダイレクトリクルーティング」
前提として、上記問いかけは、最近TVCMなどでよく見る「あの企業が本気で採用!」といった、超大手企業がスカウトサイトを利用してダイレクトリクルーティングを行う成否について話したのがきっかけでした。
あのような、誰でも知っている企業におけるダイレクトリクルーティングは、これまでよりも進むことが予想されますし、事実知名度ある企業から直接面接したいと連絡があれば、エージェントのスカウトよりも効果がありそうなのはイメージしやすいことです。
しかし、そのような転職市場で高い影響力を発揮する企業はごく一部だと考えられ、例えばプライム上場をしているような企業でも、会社名だけでは事業内容すら連想できない会社は山ほどあります。
そのような会社がスカウトサイトを利用してダイレクトリクルーティングを行ったとしても、なかなか思うような成果を上げられないでしょう。ましてやもっと知名度の低い会社になれば尚更でしょう。
「ダイレクトリクルーティング体制の構築が難しい」
また、ダイレクトリクルーティングをするにしても、社内の誰がやるのか?という問題もあります。
通常は人事の中途採用担当者が行うと思いますが、よほど腕のいいリクルーターでない限り、社内の多様多種なポジションをダイレクトに採用していくのは至難の業でしょう。
また、大手スカウトサイトと契約し、採用部門一任でダイレクト採用を検討している会社もあります。その場合、部門人事などがいればいいですが、いないケースのほうが多いでしょうから、採用部門責任者の部長や直属の上司がスカウト作業を行うことになります。
中途採用も人材ビジネスもやったことがない部門長がいきなりスカウトサイトのログインIDとパスワードを渡される世界は、可哀そうすぎて目も当てられません。
そうならないためにも自社に優秀なリクルーターを複数名配置しなければなりません。また、そのリクルーターを統括できる優秀なマネジメントも必要でしょう。
そのような、「採用だけに特化した組織」を構築できる、人事戦略、採用に対する理解、コスト的な余裕を持った会社のほうが少ないと思われるため、そうなると「RPO(採用代行)に依頼してダイレクトリクルーティングを促進しよう」となるのではないでしょうか。
「RPO(採用代行)が流行する転職マーケット」
採用代行企業に依頼すれば、必要な時期に必要な戦力を賄うことができます。場合によっては、自社人事に伴奏して自社の採用力強化もサポートしてくれる会社もあります。
したがって、ダイレクトリクルーティングを行っていく上で、RPOとエージェントの競合状態は発生する可能性があります。
一方で、RPOと言っても、ダイレクトリクルーティングだけではなく、人材紹介会社を利用した採用代行もありますので、共存・協働する存在ともいえます。
RPOで外部エージェントを使うと当然エージェントFEEが発生しますし、RPOのリクルーターが紹介した人材を採用する場合も、エージェントを利用した時と同じような手数料を取られるケースもあります。
そのため、採用代行を利用する企業からすると、コスト面ではそれほど大きなメリットがないケースもあるため、RPOを使うのか、これまで通りエージェントを使うのかなど判断が必要です。
「その他のダイレクトリクルーティングについて」
ダイレクトリクルーティングもスカウトサイトやRPO以外にも、SNS(特にLinkedInやX)や社員のリファーラル採用、また、退職した社員を再雇用するアルムナイ採用など、選択肢が多岐にわたってきています。
それらの全ては人材紹介事業と競合する可能性があるため、エージェントとして存在価値を発揮するためにも、人材紹介コンサルタントならではのスキルを身に着ける努力をしていく必要があります。
「人材紹介コンサルタントの価値」
それでは、ダイレクトリクルーティングにはなかなか真似できない人材紹介コンサルタントの価値とは何になるでしょうか?
一つは、担当する業界や職種に対しての専門知識です。企業内の様々なポジションを担当している人事の方よりも、特化した専門のエージェントだからこそ提案できることが多々あります。事実、前職のMS-Japanで働いていた頃は、人事の方よりも経理職や法務職については詳しい事が多く、人事の方からは該当ポジションの年収相場や、応募要件の市場感などを良く聞かれていました。
もう一つは、業界全体のビジネス状況やその職業におけるキャリアアッププランを俯瞰して説明し、候補者個人にそのポジションの魅力を第三者的立場から動機づけできるスキルです。こちらもダイレクトリクルーティングだと当然自社の動機形成に終始しますが、エージェントであれば業界全体、その方個人のキャリアイメージに合わせた求人の紹介が可能です。
「中途採用市場を甘く見るな」
最後に、エージェントが毎日毎日スカウトサイトで人を探し、毎日毎日面談し、数多ある候補者の中から、人選しようやく1件の推薦になっていることを、企業側は案外理解していません。
しかも、企業によっては数十社、時には100社以上のエージェントを利用してようやく採用にこぎつけているのだとしたら、その裏側では、相当な人数のRA、CA、両面のコンサルタントが稼働した結果となります。
この一見すると無駄との思える行動量の総和(スカウト、面談、求人紹介、応募承諾、書類推薦、そしてその裏側にある辞退やお見送りの数々)、そしてそれを実行している数十名、数百名の人材紹介コンサルタントの力により、その1件の求人が埋まっているという事実。これだけ探してようやくポジションが埋まっていく状況で、社内のダイレクトリクルーティングだけに頼ってポジションを埋めていけるほど日本の転職市場は甘くありません。
ダイレクトリクルーティングも人材紹介も、採用ポジションに合わせてうまく使い分けていくことが企業の採用成功の近道ではないでしょうか。
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