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言語の壁【東京人は大阪を好きになりたい#0】
大阪のイメージといえば、
・時間の使い方が上手(せっかち)
・ハッキリとモノを言う(声が大きい)
・物怖じしない(目立ちたがり)
正直、ニガテ意識がある。申し訳ない。
会社から異動を言い渡され、訳が分からないまま大阪に越してきて1週間。先入観は未だ変わらず。
住まう以上は好きになりたいと思っている。
というか、好きにならないとやっていける自信がない。
これは、東京都出身26歳男性によく異郷の地、大阪での孤軍奮闘の記録である。
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知らんけどボディブロー
着任前に言われたことがある。
「語尾に知らんけどって付ければどうにでもなるよ」
そんなクラシック大阪人、今どき居ないだろうと冗談半分で聞いていた。
ところがどっこい。フタを開けてビックリ。
この1週間で「知らんけど」を5回は聞いた。特定の人物の口癖ならまだしも、異なる人物が口にしていた。
注意して聞くと、「と思う」や「たぶん」の意で使われているように思える。
確証のない話、自分の意見を述べた際の照れ隠し。自分の主張に対して保険をかける言葉だった。
加えて、自分の話をダラダラと続けても最後に「知らんけど」といえば「知らんのかい!」とツッコまれ、オチがつく。
ボケとツッコミによって話をオトす。なんとも関西人らしい考え方だ。(偏見)
それにしても、汎用性がとんでもない。「ヤバい」「エモい」に匹敵するなんとも便利な言葉だ。
知らんけど。
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四方八方、関西弁の嵐
ここまではさほど気にならない。問題はこれが関西弁であるということ。
標準語なら「知らないけど」になる。細かなイントネーション、語尾の違いが大阪に来たという事実をひどく痛感させる。
「なんだけど」でなく「なんやけど」
「違うよ」でなく「ちゃうねん」
「ありがと↓う」でなく「ありがと↑う」
逃げ場がどこにもない。どんな会話をしていても、雑踏の中で聞こえる話し声にも関西弁が顔を出してくる。
併せて「知らんけど」には"オチをつけたがる"関西人の思想が強く反映されている。流石は代表的な方言だ。
思えばこの1週間は、あえて大阪感を排除して生活していた。
名物を食べることなく、昼はローソン。夜は松屋。急な変化の中でも普段通りに過ごしたかったからだ。
しかしどうだ。
一歩外に出れば溢れんばかりの関西弁。こちらの決意はお構いなしに容赦なく入り込んでくる。
視界の外に追いやろうとした"大阪"はジワジワとボディブローのように鼓膜を打ち続けた。
まさか国内で言語の壁を感じるとは思わなかった。
もう歩み寄るしかない。そう決めた。
やるしかない。引越してしまったのだから。
この街を好きになるべく、動くしかない。
歴史を知り、ドラマを知り、想いを知ろう。沢山の人と会話をして"関西人"でなく"いち個人"として接する。
そうすればきっと、お気に入りの場所が見つかるはず。気の合う仲間が出来るはず。
これから5回に渡り、大阪市内各地を巡り、その様子をレポートしていこうと思う。
旅のお供はロードバイク『GIANT FCR0』と、ミラーレス一眼カメラ『FUJIFILM XS-10』。この2つがあるおかげでこのレポートを書く決心がついた。本当に買ってよかった。
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タイトルは『東京人は大阪を好きになりたい』。ラノベ的なタイトルだが、そう思っているのだから仕方がない。
本当に大阪を好きなれるのか。もしかしたら半年後には東京へ逃げ帰っているかもしれない。
◇◇◇
まだ大阪に希望を感じていた3月末。物件下見のために降りた、なにわの地でのスナップを最後に。
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次回の#1は通天閣に行きます。不安しかない。