【取材こぼれ話】MLBを経験した選手が語った”データ活用”とは?〜青木宣親さん編〜
今回からnoteによる執筆活動も本格開始しようと思います!
まず自分で気軽に書けるようメディアで書ききれなかったことや、大事なので強調したいお話も紹介していきたいと思います。
MLBに関するテーマの一つとして、選手がどのようにデータを活用しているのかを紐解いていきたいと思っています。切り口はたくさんあるのですが、先日取材した青木宣親さんの話を交えながら紹介します。
青木さんは今季までヤクルトでプレーし、日米21年間の現役生活にピリオドを打ちました。
2012年にはMLBへ挑戦し、ブリュワーズへ入団して以降は14年にロイヤルズでワールドシリーズを経験。さらに5球団を渡り歩き、17年までで7球団に所属しています。在籍球団数は野茂英雄さんと並んで日本人選手最多タイ記録。さらに両リーグ全6地区に所属した初めての日本人選手でもあります。
日米通算2730安打という大記録をマークし、うちMLB通算でも774安打を放った球史に残る大打者です。
青木さんがチェックしていたデータとは?
今はイベント出演やYouTube・テレビ出演など大忙しの青木さんですが、先月都内で行われた「デジタル野球教室」のスペシャルコーチとして登場しています。
「デジタル野球教室」とはNPB球団でも使用されている最新の計測機器を用い、デジタル活用による技術力向上を支援するイベント。
RapsodoやトラックマンB1・MA-Q・BLAST・TechnicalPitchなどを使い、中学生を対象に数値を元にしたアドバイスを受けることができる野球教室です。
青木さんもここで中学生にマンツーマン指導を行ったり、トークショーでこれまでの野球人生について振り返る機会になりました。
教室名やコンテンツに沿い、青木さんはどのようにデータ活用をしているかの話題に。まず、データ活用のメリットについて解説しています。
「今はデータを使わなければいけない時代です。昔のように『こうしろあぁしろ』と指示されるよりも、数値化された方が分かりやすいので、感情論にならない。
あとは数字を見て、『〇〇になりたいな。じゃあどういうアプローチをするのか』と方針を立てやすくなると思います。筋肉をつけるのか、体のことを覚えてバランスよく振れるようにするのか。そのためにも必要になっていきますね」
青木さんがデータを見始めた時期については、トークショー内で「僕がメジャーに行って3〜4年ごろですかね、その頃からクローズアップされて僕も見始めました」と語りました。
実際に何を見ていたかについて続けて問われると、次のように明かしてくれています。
「僕は基本的にヒットを打つバッターでコンタクトすることを意識していたので、投手のデータを中心に見ていました。飛距離を意識する時は打球速度や角度をたびたび見て、数値で分かるようにはしていました」
今は打者で言えばスイングスピードや打球速度・打球角度、投手では回転数や回転軸など多くの指標を見ることができます。青木さんも後輩と接する中で、「今の現役選手たちも意識しています」と関心が高いことを示しています。
ただ、青木さんは野球教室内で何度も強調して話していたことがありました。イベント後の囲みでこのように話しています。
「データを見て”活用”しなければならないです。数字を見てそれを技術・プレーに落とし込むかが重要です。打球スピードが分かりました、じゃあそれを上げるにはどうしたらいいのか。そう言った考えが必要。
改善すべき点が明確に(数字に)出るので、早く技術を習得できる部分は大きなメリットです。でも気をつけないきゃいけないところはそこだよと。中学生の選手たちにもしっかりと伝えました」
大事なのは体のメカニズムを理解すること
青木さんが語った「データを技術に落とし込む」こと。それはプロでも難しいとされているそうで、MLBである職種があると述べています。
「今選手とコーチの間に”コーディネーター”という職業ができて、データを技術に落とし込む人が出てきたんです。そういう職業がメジャーでは必要だと言われていて、そこ(落とし込みが)難しいとされているからなんです」
ここで自身としては「僕は自分でコーディネートしていました」と語っており、あれだけの成績を挙げてきた根拠でもありました。
中学生を教える際にも一言のアドバイスで打球が変わるシーンが何度も見られ、その理由を青木さんが意識していた点と共に明かしてくれました。
「体のメカニズムを理解することです。僕は体の動きを『こう動かしたらこうなる』と理解しているので、みんなのスイングを見て分かるんです。
結局はスイングするのは数字じゃなくて体なので、体をどう使えばこういう動きができるのか、そのためにはどうトレーニングすればいいかが分かるので。
いろんな体の動きを知ることがスイングを変える・投げる・走るになるので体を見た方がいい」
データ活用についてはイチローさんなど他のMLBでプレーした方々が語っているので、そんなお話や青木さんが語ったコーディネーターとはどんな職業なのかを今後深ぼっていきたいと思います。
スポーツメディア「SPORTSCORE」でもデジタル野球教室並びに青木宣親さんのトークショー模様などを載せています!