映画評 スパイの妻とボヘミアン・ラプソディ
先日、昨年NHKの地上波で放映されていた映画作品の録画を鑑賞した。前者は、黒沢清が監督でもともとBSのドラマで作られ、その後映画化。2020年のヴェネツィア国際映画祭で、銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。ストーリーは、1940年の開戦前の日本で、高橋一生扮する貿易会社を営む男が、満州で国家機密を偶然知り、それを告発しようとすることから始まる。
妻役の蒼井優がやがてその機密を知ることとなり、そこから思いがけない展開へと至る。旧日本軍の暗部や当時の軍国主義的な空気が、欧米の意識高い層に受けた側面が、受賞の背景にあったのかもしれないが、ただ二人の演技力と、思いもよらない展開は引き込まれた。時間も2時間程度でエンタメ作品として楽しめるので、鑑賞するにはおススメの1作。
後者については、フレディ・マーキュリーの半生をたどった作品。個人的には、クイーンもフレディ・マーキュリーもさほど造詣が深いわけではなかったが、LGBTや国籍とアイデンティティの問題と格闘しつつ、アーティストとして一時代を確立していく様が描かれている。最後のアフリカ難民救済を目的に1985年に開かれたイベント「ライヴエイド」の様子がリアリティにあふれていて圧巻だった。「ライヴエイド」は自分が小6の時で、フジテレビがこれに合わせて、中継していてチラ見した記憶がある。こちらも2時間強でさほど長くない作品なので、おススメ。