書評 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。ヤニス・バルファキス
著者はギリシアの元財務大臣で、経済学者である。ギリシアが経済危機に陥った後に大臣に就任し、EU側から財政政策に関し厳しい要求を突き付けられたにもかかわらず、それを拒んだという人物。訳者の説明だと、見た目も含めてキャラクターは強いらしい。
内容はオーストラリアに住む娘に対して、経済の歴史、現在、これからを語るという体裁だが、小難しい言葉などは一切使わずに、タイトル通りにわかりやすく説明している。かといって、「ポジショントーク」的な側面も全くない。物々交換の時代から、お金が出てきた理由、なぜ土地の所有が生まれたのか、といった経済の始まりから、リーマン・ショックが発生した背景、いわゆる格差がなぜ生じたかや最近のビットコインをめぐる動きなど、テンポよく読み進めていくことができる。大まかな流れを知るには、有用な一冊であり、楽しくライトに経済のことを把握できるのが、本書の魅力だ。
また、翻訳者の関美和が金融機関で勤務経験があり、日本語で経済をわかりやすく伝えようとしている姿勢が、文面から感じ取ることができた。池上彰辺りの生半可な「経済解説」本よりは、断然こちらがおすすめ。
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