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書評 21世紀の長期停滞論 福田慎一
金融危機以降、世界的に経済が長期停滞に入ってるとの指摘があるなかで、この観点から、現状どのような論点が出てきているかを、非常にコンパクトにまとめている1冊。長期停滞論に関する入門書と言っても過言ではない。
特に日本においては、「アベノミクス」で雇用については、実質完全雇用といっても良い状況にはあるものの、賃金上昇は抑えられ、物価上昇率の達成もおぼつかない現状がある。こうした国内の状況への指摘はもとより、世界ではどのような状況になっているかを、需要・供給双方の視点から、要点をかいつまんで説明している。
読んでみて感じたのは、ネット化・グローバル化した社会では、従来の経済学の教科書が教えてきた通りのセオリーのみで説明できない事態が進行しているということである。日本国内では、高齢化による社会保障の問題があるなかで、小手先の対応ではなく、長期停滞にあるなかでどのような対策を立てていくか、きちんと取り組む必要があると強く認識した次第である。本書では、こうした問題に明確な処方箋を示しているわけではないが、まずは現状把握するには読んでおくべき本である。