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silent 最終話・シナリオブック:「それでも変わらないもの」とは何だったのか
最終話、主要な登場人物たちが前向きにこれからの人生を歩んでいこうというところできれいに物語が閉じられ、とりあえず良いドラマだったなと思えた。一方で、個人的な好みとして、もう少し違った閉じ方をして欲しかった部分もあった。
また、ドラマ終了後に刊行されたシナリオブックを読んで、第9話からひっかかっていた点がいくつか解消された。
とても良いドラマだったので、水を差すような意見は控えたいところだが、
silent 10 解釈:「変わらないね」と「ありがとう」 言葉は何のためにあるのか
第10話の最後の場面は、ふりだしに戻ったかのような想(目黒蓮)の苦悩の告白だった。「もうこれは、第10話について考えても仕方がない。ハッピーエンドを期待して、最終話を待つしかない」とも思ったが、2回目の第10話を観て、紬(川口春奈)と想の、心と心をつなぐためのかすかな光が感じられた。希望を込めて第10話を考えてみたい。
「変わらないね」と「ありがとう」
第10話では、「変わらない」もしくは
silent 9 解釈: 残酷さに気づくこと
第9話は、想(目黒蓮)の耳がだんだんと聞こえなくなり、苦しむ想を家族がどう見守ってきたかその過程が描かれ、想が家族と向き合って昔のように笑えるようになる、というポジティブな展開が主軸であった。一方で、遺伝性疾患の世代の問題に踏み込んだシナリオで、軽率な解釈がためらわれる回でもあった。この第9話だけを切り取ってしまうと、世代の問題について描かれた場面の残酷さが放り出されたまま、解決されていないよう
もっとみるsilent 7 解釈:「必要ない」という手話と、まっすぐ気持ちを伝えること
7話に関しては特に、語るだけ野暮な気のするきれいな回だったが、それでもやっぱり何か言いたい。
「必要ない」という手話
春尾先生(風間俊介)が同僚の先生から独身の同級生を勧められようとしたときの「結構です」で私たちは「必要ない」という手話を印象付けられた。7話では特に「必要ない」がたくさん使われていた。
想(目黒蓮)から「必要ない」という手話がでるたびに、紬(川口春奈)は寂しそうな表情をうか
silent 6 解釈:同じことと違うこと
想と奈々の出会い
同じことに目を向けるとき、人は共感することができる。
想(目黒蓮)が、誰かに聞いて欲しかった不安を初めて打ち明けたとき、奈々(夏帆)は静かに話を聞き、「音がなくなることは悲しいことかもしれないけど、音のない世界は、悲しい世界じゃない」「悲しいこともあったけど、うれしいこともいっぱいある…あなたも同じ」と筆談で想に伝える。
聴力が落ちていくなかで初めて経験した、悲しかった出
silent 5 解釈:ハンバーグを避けること
想(目黒蓮)の母、律子(篠原涼子)のセリフが、湊斗(鈴鹿央士)と紬(川口春奈)の恋のうまくいかなさを良く表している様に思える。
想の存在と二人が同窓会で再会したタイミング。想がいなくなっていなければ、あの同窓会で再会した時に湊斗が紬を気にかけることもなかっただろうし、紬が弱っているタイミングでなければ仲が進展することもなかった。最終的には、想と再会していなければ、別れていなかったかもしれない。