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お肉屋さんの知識

大学を卒業して最初に入社したのは小売業の会社で、私は某スーパーの畜産部門に配属された。

大学で選考していたのは語学だったし、「畜産」なんて畑違いすぎる、全くの未知の世界だった。

子供の頃はよく母とスーパーに買い物に行っていたけど、母が手に取る商品をなんとなく眺め、冷蔵ケースに並んでいるものの中から食べたいものを取る、くらいの印象しか残ってなかった。

私が「お肉屋さん」だったのは1年と数カ月。決して長くはないけれど、この短期間に身についた知識は案外忘れないもんで、結婚して家庭がある私には貴重な「生活の知恵」となっている。

おうちで食事を作る機会が増えている皆様へ、「お肉屋さんの知識」をおすそ分け。ほんの少しでも、何かの機会でお役に立てば幸いです。

 

※下記の知識はあくまでも私が勤務していた職場で覚えたものであり、個人的な見解も含まれています。これが全てということでは決してありませんので、「おばあちゃんの知恵袋」のようなゆるいスタンスでお読みください。



 

【「加熱後包装」の記載がある加工肉はそのまま食べられる】

たぶん、これが一番衝撃だった。

ベーコンやウインナーなど加工された商品(加工肉)のうち、パッケージの裏面に「加熱後包装」の記載があるものは、製造段階で加熱処理を施しているため加熱調理が不要。

早い話が、袋開けてパクっと食べられる。

お肉=しっかり火を通すっていうイメージが強いけど、加熱後包装の加工肉を使えば時短調理が可能なんです。

ただし、稀に加熱用のものもあるからご確認をお忘れなく。


【ロースは背中、肩ロースは肩(前脚)に近いロース、サーロインは腰、バラはおなか側で肋骨周りのお肉】

これはもう、読んだまんま。

部位の場所って普通見ないけど、知ってると「ここは赤身だな」「ここは赤身と脂身がミックスだな」っていうのも分かるから、作りたいメニューによって選び分けることもできる。

まぁ、サーロインなんて自分で買ったことないけどね。



【「こま肉」は複数部位のお肉が混ざった商品、「切り落とし肉」は1つの部位のみで作られた商品】

私のいた肉屋では、「こま肉」はモモやウデ(読んで字のごとく、な部位)を原料として使っていた。

ほかのお店も大差ないのではなかろうか。

よくチラシなんかで「モモ切り落とし」「カタ切り落とし」は目にするけど、「こま切り落とし」なんて言葉はない。

どっちを買ったらいいですかなんてよく聞かれたけど、こま肉も切り落とし肉も作る過程は変わらないから、「細かく切られたお肉がほしい」だけならどちらを買っても差異はないように思う。お買い得な方をどうぞ。



【鶏肉は「カット済み」より「正肉(まるまる1枚)」の方が単価は安い】

鶏のモモ肉なんかだと「から揚げ用」など、予めカットされた商品も店頭に並んでいる。

カットされているということは、「誰かが手間をかけて切ってくれている」ということ。

人の手がかかっている分、人件費が加味されて商品単価が数十円高くなっていることが多い(この事実、よく考えれば気付くことなのだけど、私は肉屋に行くまで全然気づかず)。

とはいえ、カット済みの商品は調理前の下ごしらえがいらない便利商品。状況に応じて上手に利用することをお勧めします。



【16時再開店の法則】

恐らくこれは、肉屋に限らずスーパー業界の鉄則みたいなもの。

どういう立地か、客層はどんな人たちかによって違いはあると思うが、一般論的には「お昼」と「夕方~帰宅時間帯」はお客さんが多い。

朝の開店時間に合わせて売り場にたくさん商品を並べても、お昼のピークを過ぎると品薄や売り切れを起こす商品が出てくる。

そうした商品を補充して売り場を整え、夕方のピーク時間が始まる16時に再度開店するイメージで管理しなさいと教え込まれた。

お客さん目線で見れば、夕方は新しい商品が店頭に並べられ、チラシに載ってないタイムセールなんかが始まる、まさにゴールデンタイム。

書き出してみたら、思いの外あったもんだ。

自分の中で当たり前になっていた知恵を何気なく旦那氏に教えたら「それ知らなかった」と言われ、「肉屋の知識は世の常識じゃない」と気付かされた。

知らなくても生きていけるけど、知っているとちょっと暮らしが豊かになる、かもね。


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