抑肝散と酸棗仁湯
自分の変化にものすごい無頓着だ。
ほとんど眠れていないのに見てみぬふりをしていた。
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久しぶりに降りた駅は少し新しくなっていて清潔になっていた。街並みはどんどん清潔になる。清潔に清潔を重ねたビルの中に入ってエレベーターのボタンを押すとメンタルクリニックだ。予約したけれど2時間くらい待った。私は風邪と不眠でうまく動かない頭を壁に押し付けてひたすら名前を呼ばれるのを待っていた。医師は簡潔に適応障害ということと、悪化する可能性がある、ということを私に告げた。事前に自分の症状は適応障害かな、と勘繰っていたので、当たったから安堵した。ほうらやっぱり。その後2日間くらい、どうして自分の人生はこうなってしまったのだろうと考えた。考えたけれど答えは出なかった。今、世界が美しいと思える力がなくて、それが無性に悲しい。
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無力感が押し寄せてきて、どうせまた同じだよ、繰り返すだけなんだよ、と言われている気がして、何も考えられない。どうしてこうなったんだっけ。そんなにたくさんのことを望んだわけでもない。幸せは地続きにある。そんなのわかっている。それなのに一歩手前で壊れてしまうのは、壊してしまうのは、どうしてなのだろう。私はもっと普通の人生が良かった。