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#138 なんと!セルロースナノファイバーで半導体が出来ちゃう!?

『紙について楽しく学ぶラジオ/Rethink Paper Project』
このラジオは、「紙の歴史やニュースなどを楽しく学んで、これからの紙の価値を考えていこう」という番組です。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
よろしくお願いします。

面白いニュースリリースをご紹介!

今回も、前回に引き続き、面白いニュースリリースを発見しましたので、そちらを取り上げていきたいと思います。

今回ご紹介する記事は、大王製紙が6/21に発表したニュースリリースです。
一旦、記事の内容を、一部抜粋して紹介したいと思います。

大王製紙株式会社(住所:東京都千代田区、以下 当社)は、セルロースナノファイバー(以下 CNF)の新たな用途開発として、国立大学法人東北大学(以下 東北大学)、国立大学法人東京大学(以下 東京大学)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下 産総研)と共同で半導体材料開発を開始します。
なお、本開発テーマは、このたび国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)の「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム*」に採択され、本年度より4者で共同研究を行う計画です。

■CNF半導体開発の狙い
当社のCNFは「水分散液」「透明水分散液」「乾燥体」「成形体」「複合樹脂」の5形態をラインナップし、多岐にわたる分野での実用化に取り組んでまいりました。このうち、NEDO、環境省の事業成果の一部として、水分散液(150トン/年)、乾燥体(63トン/年)、複合樹脂(100トン/年)の3つのパイロットプラントを当社三島工場(住所:愛媛県四国中央市)に設置し、CNFの社会実装の1つの課題であるコスト低減を実現できる製造プロセス開発を進めています。今回は、これまでの製造・用途開発とは異なる半導体材料の開発に取り組むことでCNFの新たな可能性を産学官連携による共同研究で模索します。半導体材料を植物由来のCNFから創生することは容易なチャレンジではありませんが、共同研究パートナーとの連携により、実用化を目指し開発を進めていく考えです。

『CNF半導体材料の開発に着手 東北大学・東京大学・産総研と共同でNEDOプログラムに参画 ~新規なバイオ半導体材料の開発、実用化を目指した開発スタート~』(大王製紙株式会社/2023年6月21日)

簡単に言うと、“大王製紙のCNF(セルロースナノファイバー)を、半導体材料として開発していきます!”という記事です。

CNFに半導体特性があることを発見!

事の発端は、今年1月の東北大学のプレスリリースです。
「東北大学未来科学技術共同研究センター・リサーチフェロー・福原幹夫先生が、CNFに半導体の特性があることを発見した」という、衝撃的なプレスリリースが発表されました。

これはすごいことですよ。

半導体と言えば、産業のコメとも言われるほど、ありとあらゆる分野に欠かせない素材で、これからも需要は増えていくものです。
皆さんも、半導体の恩恵を受けない日なんてないんじゃないでしょうか。

そんな半導体の材料としてCNFが実用化できるとなったら、半導体産業に大きな影響を与える可能性がありますよね。

半導体とは?

そもそも半導体とは?について、メチャクチャ簡単にご説明しておきます。

まず、半導体は、その名の通り、「半・導体」です。
つまり、物質には電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」とがありますが、「半導体は」その中間の性質を備えた物質という訳です。

先ほども言いましたが、半導体は、ありとあらゆるものに搭載されています。
皆さん大好きスマホはもちろん、冷蔵庫やエアコンなどの家電製品、それから車の中にも使われています。
これから、IoTやAIが普及してくると、更に半導体の需要が増えてくるはずです。

現在の半導体のメインの材料は、シリコン(元素記号=Si)です。
このシリコンは、地球上で酸素の次に多い元素で、まぁ、比較的潤沢にある元素と言えます。

しかし、自然の中のシリコンは、酸素とかと結びついているので、元素として抽出する為には、結構コストがかかります。

今後に期待!

仮に、CNFが半導体の材料としてイケる!となった場合、これまでの高価なシリコンよりコストも抑えられるし、何より環境負荷も少なくなります。

これまで、数々のCNFの事例をご紹介してきましたが、中でも期待度が大きい事例じゃないでしょうか。

今回の開発は、大王製紙の他、東北大学、東京大学、産業技術総合研究所の4者で行う予定だそうです。
東北大学は、先ほどご紹介した、CNFに半導体の特性があることを発見した福原幹夫先生がいらっしゃった大学です。
そして、東京大学には、日本におけるCNF研究の第一人者ともいえる磯貝明名誉教授がいます。

最後に、今回の開発にあたって、お2人が出されたコメントをご紹介して終わりたいと思います。

「福原幹夫先生らは、機械解繊CNFフィルムそのものに半導体特性を有するという画期的な発見をされました。 今回のプロジェクトでは、この新規バイオ系半導体の実用化に向けた研究開発を進めるとともに、その発現機構を 解明してサイエンスにも貢献することを目指します。」

東京大学大学院 農学生命科学研究科 特別教授 磯貝 明 先生

「植物から作られるCNFから、n型半導体特性が発見されました。人工物である金属、セラミックス、ポリマーと 異なる天然素材から新しいバイオ半導体の分野が花咲き発展することを期待しております。日本固有の森林資源を有効に活用することができれば地方創生にも役立つものと考えております。」

前 東北大学 未来科学技術共同研究センター リサーチフェロー 福原 幹夫 先生

これは面白くなりそうな予感ですね!

という訳で、今回は以上となります。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

▼参考資料

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