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『稲盛和夫一日一言』 8月14日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月14日(月)は、「真正面から立ち向かう」です。

ポイント:何事に対しても、ど真剣に立ち向かっていく。それが「自らを追い込む」ということ。困難から逃げずに、真正面から愚直に取り組む姿勢を持てるかどうかが、成功するか否かの分かれ道となる。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、困難に真正面から取り組むことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人は、人生や仕事において困難な問題にぶつかると、正面から向き合うのを避けて斜めに構えたり、あえて遭遇するのを回避したりしがちです。しかし困難に対しては、真正面から取り組む正攻法で臨むべきです。

 難しいことは承知の上で、「何としてもそれを解決しなければならない。どうしてもやり遂げなければならない」という切迫感を持って、真正面からぶつかっていくことが大事です。

 研究開発にしても事業にしても、どうしても壁を破ることができない。ところがあるとき、簡単にその壁が破れるといったことがあります。
 例えば、いくら身体をぶつけても開かないと思っていた鉄製の扉が、いざ開けてみたら障子だった、というようなことです。
 それは指で軽く押すだけで簡単に破れてしまうほど弱いものだったのに、あたかも鉄の扉のごとく、自分の前に立ちはだかっていた。

 破ることができないと思い込んでいたのは、実は心の中に勝手につくっていた壁であり、そうしたものも、真正面からぶつかり一生懸命に努力することで打ち破ることができる、ということです。

 困難に遭遇したとき、策を弄し、手練手管を使えばもっとうまく解決できたのかもしれません。しかし、私は終始、バカ正直に真正面からぶつかっていくという生き方をしてきました。そのため、人一倍苦労はしましたし、要領が悪いとも言われましたが、あえて「要領が悪くてもいい。そういう正攻法の生き方しか自分にはできないのだ」と思って取り組んできました。

 しかし、そうした努力、真摯な態度を見て、神様はまたは自然は、想像もできないような素晴らしい力を私に与え、成功へと導いてくれたのではないでしょうか。(要約)

 名誉会長は、「『神の啓示』を受けるほどの切羽詰まった状況、真摯な態度があって初めて、困難を乗り越える素晴らしいアイデアやヒントが得られる」と説かれています。

「啓示」には、「神が人間に対して、人の力ではとうてい知ることのできないようなことを現し示すこと」といった意味があります。

 「試練は乗り越えられる者にしか与えられない」「神様は乗り越えられない試練は与えない」「神は乗り越えられる試練しか与えない」といった言葉は、新約聖書の中にある「神は真実な方です。 あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます」に基づくものとされています。

 不器用な私は、要領よく立ち回るといったことができませんでした。そのせいか、「困難なことであっても、そこから逃げずに、真正面から愚直に取り組む姿勢を持つ」ことの大切さを説いたこのフィロソフィの教えがとても身に沁みました。

 京セラ在籍40年の間に「啓示」といえるほどの閃きを感じたのはほんの数回だったように思いますが、それでも「何事も真剣に愚直に取り組む」という姿勢は、残りの人生においても、財産として大事にしていくべきものであると考えています。


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