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『稲盛和夫一日一言』 3月1日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月1日(金)は、「六つの精進 ①」です。

ポイント:心を磨く指針として大切なものが「六つの精進」
     精進ー1.誰にも負けない努力をする
     精進ー2.謙虚にして驕らず

 2010年発刊の『六つの精進』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、「六つの精進」が素晴らしい人生をもたらすとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 精進ー1 「誰にも負けない努力をする」

 企業経営をしていく中でいちばん大事なのは、「誰にも負けない努力をする」ことです。言葉をかえれば、「毎日一生懸命に働く」ことがもっとも大事なことなのです。また、幸せな人生、素晴らしい人生を生きるためにも、毎日真剣に働くことが第一条件です。


 一生懸命に働くことを忌み嫌い、少しでも楽をしようと思うならば、企業経営の成功はもちろんのこと、素晴らしい人生を得ることはできません。
 極端にいえば、一生懸命に働きさえすれば、経営は順調にいくはずです。これから厳しい不況が襲ってくるかもしれませんが、どんな不況がこようとも、どんな時代になろうとも、一生懸命に働きさえすれば、十分にそれらの苦難を乗り切っていけるはずです。

 一般には、経営をするには経営戦略、経営戦術が大事だといわれますが、一生懸命に働くということ以外に成功する道はありません。一生懸命に働くということ以上の経営のノウハウはないのです。

 私がなぜ「一生懸命に働く」ということを強調するのかというと、この自然界はすべて一生懸命に生きるということが前提になっているからです。
 私たち人間は、少しお金ができたり、会社がうまくいくようになると、楽をしようという不埒(ふらち)な考えをしますが、自然界にそういうことはけっしてありません。自然界に生きている動植物はみな、必死に、一生懸命に生きています。

 そういう姿を見ても、毎日毎日をど真剣に、一生懸命に働くということが、我々人間にとっても最低限必要なことではないかと思うのです。
 一生懸命に働く、誰にも負けない努力をするということは、この世に生きるものの当然の義務であり、その義務から逃れることはできない、と私は思っています。

 精進ー2 「謙虚にして驕らず」
 謙虚であるということは、人間の人格を形成する資質の中でもっとも大切なものではないかと思っています。我々はよく「あの人は立派な人格者だ」ということを言ったりしますが、人間性の中に謙虚さを備えている人を、我々はそういうふうに表現しているわけです。

 これは、成功して驕りたかぶっている人に対してだけ謙虚になれと言っているのではありません。中小零細企業のときから大企業になるまで、一貫して謙虚でなければならない、と私は思っています。

 若いころ、私は中国の古典にある「ただ謙のみ福を受く」という言葉を知り、謙虚でなければ幸福を受けることはできない、幸福を得られる人はみな謙虚でなければならないのだと思い、まだ京セラが中小零細企業であったころから謙虚さを大事にしてきました。

 世の中では、他人を押しのけてでも、という強引な人が成功するようにみえますが、けっしてそうではありません。成功する人とは、内に燃えるような情熱や闘争心、闘魂をもっていても、実は謙虚で控えめな人なのです。

 謙虚な振る舞い、謙虚な態度は、生きていくうえでたいへん大切な資質です。しかし、人は往々にして成功したり地位が上がったりすれば、謙虚さを忘れ、傲慢になりがちです。こうしたときにこそ、「謙虚にして驕らず」ということが、なおのこと大切になるのではないかと思います。(要約)

 今日の一言には、「①誰にも負けない努力をする:人よりも多く研鑚する。また、それをひたむきに継続すること。不平不満を言う暇があったら、1センチでも前に進み、向上するように努める。
 ②謙虚にして驕らず:『謙は益を受く』という中国古典の一節のとおり、謙虚な心が幸福を呼び、魂を浄化させることにもつながっていく」とあります。

 名誉会長は、「六つの精進」の実践について、次のように説かれています。

 「六つの精進」は、人間として素晴らしい人生を生きていくために守るべき、必要最低限の条件でもあります。
 「六つの精進」を毎日連綿と実践し続けていけば、やがて自分の能力以上の素晴らしい人生が開けてくるのです。(要約)

 これが必要最低限の条件だと言われても、実はひとつとして満足に実践できているものはないというのが実状ではないでしょうか。
 「どれかひとつくらいは頑張ってみよう」と注力するのもありですが、できれば六つすべてを意識しながら「少しでもそうありたい」と心がけることこそが尊いことなのかもしれません。


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