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『稲盛和夫一日一言』 7月10日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月10日(水)は、「垂直登攀(とうはん)」です。

ポイント:人生や仕事においては、どんな困難な山にも安易に妥協することなく、垂直に登り続けていくことが大切。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)「垂直登攀」の項で、高い目標を達成していくために必要なこととして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 高い目標を定め、それを達成するためには、その目標に向かってまっしぐらに進んでいくことが必要です。
 登山に例えると、前に立ちはだかる岸壁に遭遇して行く手を遮られるようなことがあっても、真っすぐに高い頂を目指していく、そうした姿勢を持つことが大切なのです。

 高い目標を目指すならば、正しいと信じる道を真っすぐに突き進む、まさに「垂直登攀」の姿勢で臨むことです。実際、京セラを創業してからは、まさに垂直登攀をしなければならない局面の連続でした。

 私は、昭和57年(1982年)の経営方針発表会の席上において、次のようなスローガンを掲げました。

 「新しき計画の成就は只不屈不撓の一心にあり
        さらばひたむきに只想え 気高く強く一筋に」

 これは、中村天風さんの著書から借用した一文です。
 高い目標を定め、それを達成するためには、どんな岩山であろうとも真っすぐに、ただひたむきに一心不乱によじ登っていく。そしてそこには、一瞬のためらいも、わずかな妥協も、何の邪心もない。


 そうした気概がなければ、新しい計画は決して成就しません。ただ単に、こういうことをしたい、これを達成したいと軽く思う程度でできるようなものではないのです。

 思いというものは、本当に強ければ強いほど実現していきます。同時に、天風さんの一文に「気高く」とあるように、その思いは美しく、汚れがないものでなければなりません。
 つまり、思いというものは、強ければ強いほど実現しますが、同時に、それが私心に満ちたものではなく、世のため人のためといった気高く美しいものであればあるほど、成功する確率は高くなるのです。

 新しいこと、また高い目標を達成しようと思う人は、みな垂直登攀をしているはずです。なぜなら、目の前の絶壁に恐れをなして迂回し、裾野からぐるぐると回って徐々に頂を目指せばいいと考えるような人間に、高い目標など達成できるはずはないからです。

 何かを成そうとする人は、垂直登攀の姿勢で挑まなければなりません。不屈不撓の一心を持ち続けることが大切なのです。(要約)

 今日の一言には、「自分に妥協を許し、安易な道を選べば、その瞬間は楽でも、夢や高い目標を実現することができず、必ず後悔することになる。
 強い意志を持って、一歩一歩地道な努力を日々継続する人は、いくら遠い道のりであろうとも、いつか必ず人生の頂点に立つことができるに違いない」とあります。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、次元の高い目標を持つことの大切さについて、名誉会長は次のように説かれています。

 何を事業の目的とするか、ということは非常に大切なことです。私はその目的は、人間として最も崇高な願望でなければならない、と信じています。

 なぜ次元の高い目標が必要なのでしょうか。事業を運営するためには、情熱を持ち、エネルギーのレベルを高く維持しなければなりません。しかし金銭欲や名誉欲は、罪悪感を伴い、大変なエネルギーを消費します。そのような罪悪感は、今しなければならない仕事に対するエネルギーのレベルを下げてしまいます。

 人間というのは弱い生き物ですから、自分の意欲を高めてくれるような動機が必要です。自分だけでなく、他の人たちにも最上だと思ってもらえるような目的を持たなければなりません。
 誰にでも誇りを持って話せるような素晴らしい目的を持っていれば、恐れや罪悪を感じることなく、エネルギーのレベルを上げることができるはずです。

 事業の目的は、まさに経営者の哲学の反映です。ほとんどの場合、必死に努力をすれば一時的には成功することができますが、もし経営者の思想が歪んでいれば、結局は事業を失敗させることになってしまいます。

 人生に対する見方、考え方を純化し、高めることができてはじめて、同じ過ちを繰り返したり、手にした成功を失ったりしなくなるのです。(要約)

 何かを成そうとするとき、そのチェックリストに「次元の高い目標設定になっているか」といった項目をあげている人はそう多くないと思います。

 「垂直登攀」を続けるためにも、自分にとってだけでなく、サポートしてくれる周囲の人たちからも、「この目的のためなら」と素直に共感してもらえる「次元の高い目標」を掲げ、全員が一丸となって強い気持ちを持ち続けることが必要なのではないでしょうか。


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