香港 中国と向き合う自由都市(読書記録_07)
こちらの本を読み終わりました。
香港中心部を市民が79日間にわたり占拠した「雨傘運動」が起きたのが2014年の秋。
その翌年に出版された本なので、まだ「雨傘運動」の記憶が新しい頃。
本書は、ノンポリ国際都市・香港が「中国化」に対して見せる猛反発の意味の解読、ひいては「香港とは何なのか」を分析したものです。
私は約二年香港に住んでいたのですが、「雨傘運動」の少し前でした。
街からは政治的な匂いはまったくしませんでした。
というより、自分自身がノンポリなのでその辺のアンテナも立てておらず鼻づまり状態。(で、B級グルメばかり食べていた思い出が・・)。
香港人の鬱憤はまったく感じず平穏に暮らしていました。
こちらの本も、”今更だけど”精神で読んだ系ですが、読んでいてしんどさはなく、勉強になりました。
香港の黄金期が1970年代だったそうで、それ以降に香港に生まれ育った世代の、前の世代よりも富むことはどう考えてもできそうもない世代に積もった憤怒と香港人としてのアイデンティティの芽生えなど、近年の運動との連動具合いに腑が落ちた思いです。
序文にありましたが、「香港」と題名が入る岩波新書が出たのは、この本がなんと30年ぶりだったそう。
こちらの本以来・・(あれ、この本、積読していた気がする・・)。
香港について、多くの日本人は思考停止になっていたかもしれません。
近年動きのある香港について改めて考えてみたい、という方がいたら、この本はイギリスの植民地支配、1997年の返還から2014年の雨傘運動まで、香港で何が起こっていたのか、政治・経済・文化・市民生活の面からおさらいできる良書だと思います。