はじめて手を繋いだ帰り道のこと 別れ際に突然抱き寄せられた日のこと 私たちしか知らない秘密の場所で はじめて彼に触れた夜のこと。 10年以上も時が流れたのに 不意にあの頃が懐かしくなってしまう 地元の、田舎のなんでもない景色でさえ あの頃の私たちには宝物だった。 大人になって、都会に染まっても どれだけ他の男を知っても 高層ビルから見下ろす、煌めく夜景よりも あの夜、彼と見た工場夜景の方が輝いていた。 大人になっても、色褪せない記憶 あんなにまっすぐ愛した人がいたという
「私はひとりきりで生きている」 長い間、そう思って過ごしてきた。 心の底に置いたままの深い悲しみを 誰にも、絶対に悟られないように 明るくふるまい、笑顔を絶やさずにきた。 そうやって生きると決めたのは自分なのに いつも誰かに、助けてほしかった。 簡単に、他人に話せない悩みほど 簡単に、過去になってはくれない。 この世からいなくなったあの人を 思い出して悲しみの涙を流せるのは 決まっていつも、ひとりきりの夜。 それでも朝が来れば 私は身支度をして家を出て いつものよう
はじめまして。 言葉を紡ぐ人、neko tokidoki ningen です。 普通の会社員。猫と旅とお酒が好きです。 おひとりさまカフェめぐりも好きです。 基本的には、詩やエッセイを通して、ここから私の作品を発信していきます。 たまに旅日記も書こうと思っています。 日常生活に疲れた方、明日が来るのが憂鬱な方、そして人間関係すべてが嫌になった方へ。 言葉によって傷ついた心を癒すのもまた言葉。 大切な人に抱きしめられるようにやさしく、あたたかく、そっと寄り添う言葉を書い