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危ない!危険すぎる!石破首相の主張:「核共有及び核持ち込み」
石破新首相は自民党総裁に選出される直前の米ハドソン研究所への寄稿で、以下のように書いている。「最近では、ロシアと北朝鮮は軍事同盟を結び、ロシアから北朝鮮への核技術の移転が進んでいる。北朝鮮は核・ミサイル能力を強化し、これに中国の戦略核が加われば米国の当該地域への拡大抑止は機能しなくなっている。それを補うのはアジア版NATOであり、そこでは中国、ロシア、北朝鮮の核連合に対する抑止力を確保せねばならない。アジア版NATOにおいても米国の核シェアや核の持ち込みも具体的に検討せねばならない」。
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また、2024年9月16日の自民党総裁選候補者ネット討論会において、核共有に関連して以下のように発言している。「核共有って言うと、えっ、日本も核持つのかみたいな話しになるが、そうではない。所有権を持つわけでもない、管理権を持つわけでもない。でもいつどういう時に核を使うんですか、どういう時に使わないんですかというそういう連携を密にしておかないと、核の傘はいざとなったら差してもらえないかもしれない。ちっちゃいかもしれない。穴が開いている訳かもしれない。単に信じていればそれでいいというものじゃなくて、核共有というのは意思決定の過程を共有しましょうってことですから、非核三原則に触れるものでも基本的にはない、ということ」。
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以上を踏まえれば、石破氏は「核共有及び核持ち込み」の論点を巡り、①中朝ロの現在の活動の結果として米国の拡大抑止が機能しなくなっている、②だからアジア版NATOを作り、そこで中朝ロの核連合に対する抑止力確保が必要である、そのために米国による核共有や核の持ち込みも具体的に検討せねばならない、③ただし核共有とは意思決定の過程を共有しましょうということであり、日本の非核三原則に触れるものでは基本的にない、という主張を行っていると考えられる。
石破氏は「核共有というのは意思決定の過程を共有しましょうってことですから、非核三原則に触れるものでも基本的にはない、ということ」と発言しているが、これは必ずしも「核共有」に関する一般的な認識ではないように思われる。現時点で米国はNATO同盟国5ヶ国に合計100発程度の非戦略核弾頭(B-61核爆弾)を前方展開させていると見られており、これを受け入れる同盟国は核・通常兵器の両用航空機(DCA: Dual Capable Aircrafts)を用いて米国の非戦略核弾頭を運用する。運用に当たっては米国と同盟国双方の同意が必要であり、これを「二重鍵(dual key)」システムと呼ぶ。すなわち、「NATO型の核共有」をイメージする限り、同盟国は国内への米国の核兵器の「持ち込み」を容認することが不可欠である。