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自転車で京都から名古屋まで行く⑤関ヶ原を、馬ではなく自転車で駆けた話。

 パンクも治って、おしゃれなカフェで朝食を終えいざ関ヶ原に向けて出発!

 山道で大変と人から聞いていたけれど、そこまでしんどいとは感じなかった。地元の20分間上らないと行けない坂(峠か)に比べれば上り始めの段階で終わりが見える坂など、痛くも痒くもなかった。

 景色はいいし、空気もおいしい。マイナスイオンをこれでもかと浴びながら坂を上り、下りでは思い切りマイナスイオンの風を切るように走る。爽快だった。

 ところどころ自分の地元と似ているところや、『ぼくのなつやすみ』で出てきそうな田舎で緑豊かな風景が続いて、心はずっと癒され続け、心が幸せに体は普通に煮立ってきていた。そう関ヶ原には自販機がなかなかないのだ。戦のときは大変だったろうなと、一回真剣で遠い昔の彼らのことを心配してしまうほどには頭がおかしくなっていたかもしれない。

ぼくのなつやすみかよ(なつもんやりてぇ)
噴火しているみたいな山


 とはいえそのしんどさも自販機さえ見つければ、この心地よさのためにあるのだと思える。米原を出てからドリンク五杯も飲んだが、トイレに行っていない。全て飲んだ瞬間に汗に変わっている気がする。

 誤算だったのは、着替えを持ってきていなかったことだ。かいた汗を吸って乾いた服は正直言って獣のような臭さで、そのせいでどこのお店に寄ることもできなかったのだ。

 昨日一応泊まったところでシャワーは浴びたが、洗濯はできなかった。水洗いだけでもしておくべきだったか? いや、そんなことしたら室内を全裸で歩くことになる。やはり着替えは持って旅に出るべきだった。馬鹿だ。普通気づくだろと自らに毒づきながらお店横目に走り抜ける。

 お店こそ寄れなかったが、町屋みたいな雰囲気の道を通って、やっとついた関ヶ原の跡地の数々。たくさんあって全てはいけなかったが、それでも跡地の看板や石碑に手を合わせて旅が安全に終わることをお願いした。

この神社は入り口だけで雰囲気あるなぁ
たけくらべって樋口一葉の小説のタイトルであった気がするけど関係あるんかな
大谷吉継様、戦国無双ではお世話になりました。
いつか自分の時代も平成無双とか、令和シミュレーションゲームとかなるんかな



 それが功を奏したのか、無事故で関ヶ原を攻略。岐阜市に到着。

 岐阜は個人的にとっても好きなところで、立ち寄って旅行したいくらいなのだが、先述した通り体が臭くてどこにも寄れないし、そもそも一日時間をロスしたから時間がない。

 好きな理由は二つ。一番好きなバンドAquaTimez(現:Little Parade)のボーカルの出身地であること。

 中学生のときに自殺を考えていたところ『長すぎた夜に』という曲に救われて思いとどまってからファンだった。旅中もBGMでずっと聞いていた。

 気になるであろう自殺云々に関しては、申し訳ないがまたどこかのエッセイで書くとして(京都エッセイの他、地元エッセイでも始めるか?)もう一つの理由は、パートナーの出身地だから。

 好きなアーティストと好きな人を育んだ土地が気にならないわけがない。

 パートナーのご実家に挨拶に行った際、雰囲気が好きで住みたいと思ったのを覚えている。その挨拶話もまたどこかでする。(かもしれない)

 さて気持ちワクワクで通った岐阜だったが、関ヶ原に比べると平坦な道が多く、田園風景は気持ちはいいが、山を走るよりすずしくはなく、暑いしんどいという気持ちに勝てなかった。

 スマートフォンも熱暴走を起こし、マップの自分の表示が一切動かない。何個信号を通ったか、橋をいくつ渡ったかを測りながらなんとか進む。

 コンビニでクーリッシュアイスを二個買って、それでスマホを冷やすことでなんとか復活した。次のコンビニではデロデロに溶けたアイスをコンビニでカップでもらえるコーヒーに混ぜて飲むということを何度か繰り返して岐阜を突破!

 それも全て結局汗として排出されたのは言うまでもない。
 米原を出て、5時間以上経っているが、一度もトイレには行っていなかった。

 愛知に入ってからも我が膀胱に気配はなかった。

岐阜の川は地元の四万十川より広くて綺麗。同じ鮎が名産らしいけど、多分こっちの方が美味いな。食べてないけど。

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