#09.排水工事、始まる
2018年5月7日
家庭菜園の開始から初めて、纏まった雨が降った。家庭菜園を始めると、これまで憂鬱だった雨も雷も少し楽しみになる。
植え付けた野菜たちに水分が供給されると、上機嫌で農園に出た私が見たのは、なんとなく予想していたが目を背けていた光景だった。
水がたまっている…。
私の借りて使っている開墾農園は、放置されていたとはいえ田んぼだった土地だ。当然、水を張って田植えが出来るように整備されている。
田んぼの地下20cmほどの所には“硬盤”と呼ばれる部分があって、これが水を漏らさないようにしている。最近では泥や土を重機で踏み固めて作られる硬盤は、田んぼには必要不可欠だが畑として使うには無用の長物になる。
当然水捌けが悪いし、大根やゴボウなどの根菜を作る際には生育を妨げる要因になる。
…ではなぜ、それに目を向けずに放置していたのか。
耕作放棄されて荒れ地になった土地は、すぐには田んぼとして復旧できないと言われている。その大きな原因がこの硬盤だからだ。
荒れ地に生える草の中には、根っこが地下1m以上の深さまで達するものが多くある。強靱な生命力で硬盤を突き破り、田んぼとしての機能を失わせてしまうらしい。
耕作されずに放置されている間に、そんな雑草たちの根が硬盤を破壊してくれていればいいと期待して、特に水捌けについて工夫していなかったのである。
残念ながらアテが外れたので、大人しく排水工事をすることにした。排水工事と言っても作業はいたってシンプルだ。
ただ、ひたすらに溝を掘る。
排水溝は、畑や田んぼに施す排水設備の基本らしい。
水が流れて抜けるので、溝周辺だけは土が乾く。乾いた土がスポンジのように濡れた土から水を集める。集まった水が染み出して溝に流れて運ばれる。
ただこれを繰り返して、排水溝は土地を乾かすらしい。なんてシンプルなシステムなのかと感心してしまう。
延々と溝をほった。横の道路を舗装した時に使ったのだろう。かなりの砂利が出た。
コンクリートの切れ目から用水路に水を逃す。草や石が流れ込まないように、大きめの石で防いでみた。水は十分に通れるだろう。
最後に全景である。土地の右端に溝を一本切った。
この後何度か雨も降ったが、水溜まりができることはなくなったみたいだ。
依然として硬盤はあるので油断は出来ないし、根菜を作る時には気をつけてみよう。
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