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イエモン俺的コンピレーション

世の中がイエモンを知ったのは1999年の『JAM』からだろう。「日本人はいませんでした、いませんでした、いませんでした」のあれ。自分の初イエモンがなんだったかはハッキリ覚えてないけれど、JAMのヒットをどちらかと言えば冷めた目で見ていた記憶があるから、1999年よりは前のはず。

自分の音楽の目覚めは小6(?)のエックス、ブルーブラッド。そこからはYOSHIKI率いるエクスタシーレコード系、いわゆる“暴走族系のビジュアル系“ばかりを聞いていた。高校でブルーハーツに出会うまでは完全にそっち系にどっぷりだったという印象があるから、並行してイエモンを聞いていたのは不思議といえば不思議だ。

まあいいや。とにかくイエモンは好きだった。アルバムで言えば「EXPERIENCE MOVIE(未公開のエクスペリエンス・ムービー)」「jaguar hard pain」の印象が強い。その2枚はバカみたいに何度も聞いたな。あとは「SICKS」も。あっかんべーしたまま(I CAN BE SHIT A MAMA)とか名曲よね。他のアルバムもひとしきりは聞いた気がする。でも結局、SICKS以降のアルバムはついに一枚も買わなかった。逆にどんどん昔に戻っていった。『THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE (夜行性のかたつむり達とプラスチックのブギー)』の一曲目、Song for Night Snails聞いたときはシビれたな。

まあ、そんな感じの自分が選ぶイエモンコンピレーションです。

#天国旅行

個人的にはこういう曲調こそザ・イエモンという感じがする。中でもBメロの素晴らしさったらない。間奏部分のピアノ、ギター、ベース、からギターソロに入る直前にアニーのカウントが入っているところ(3:13〜)も素敵。同じSICKSに入ってる『花吹雪』とちょっと似た雰囲気あるし、恐らく世の中的にはそっちの方が評価高いんだろうけど、俺はこっちの方がずっと好きです。

#真珠色の革命時代

聞いた回数で言えばそんなに多くはないのだけど、イエモンの才能というか、特徴というか、強みみたいなものをかなり強く表している曲だと思う。こんなメロディ、吉井和哉以外には多分作れないし、それを壊さず邪魔せず、それでいて圧倒的な納得感で補強できる他のメンバー3人、というイエモンらしさがすごく出てる。

#SO YOUNG

結局イエモンの素晴らしさというのは、「すごく繊細ですごく難しい感情を、誰でもスッと聞けるようなメロディとアレンジで表現できる」というところにあると思う。この『SO YOUNG』はまさにその素晴らしさを象徴するような曲で、本当に本当にレベルの高いことをやっていると思う。中でも聞きどころは、まあ恐らくそれなりに“おっさん”になった人なら、その一言でグッと来て泣きそうになってしまうこと受け請け合いのこれ、吉井和哉が叫ぶ「SO YOUNG!」(4:11〜)です。

#嘆くなり我が夜のFantasy

俺の中では1曲目で挙げた『天国旅行』と同じ線上にある曲。この曲然り、天国旅行然り、もっとハードコアな詩や曲調で表現することはいくらでもできるんだけど、この人たちはしない。あくまで彼らのベースになってるグラムロックとか日本歌謡とかの“お作法”に則った上で、自分たちの言いたいことを表現する。そういうところがやっぱり彼らのすごいところだなあ。あとEMMAのギターソロはほんとすごい。いつだってすごい。彼の爪の垢を「ギタリスト=テクニックのみ」だと思ってる人に煎じて飲ませたい。

#街の灯

イエモンの中で一曲、と言われたらこれを選ぶかもしれない。単体で聞けば多分、ホノボノしたゆるい曲に感じられることだろう。でもこれが「jaguar hard pain」という<「ジャガーが死ぬ以前に祖国に残してきた恋人マリーの魂を見てしまったため、肉体が滅んだことにも気付かず、魂だけが時を超え50年後の1994年にタイムスリップしてしまい、時代のズレを感じながらも恋人マリーを探す」>というコンセプトアルバムの一曲だと考えるとまた違った味わいがある。メロディラインも、いかにも吉井和哉という感じ。

#Sweet + Sweet

アニーがとにかくカッコいい。この曲が好きっていうよりこのMVが好きって感じ。イエモンの中ではおなじみのロックラインというか、『TVのシンガー』とか『 I LOVE YOU BABY』も同じ方向性。こういうシンプルなリフとロックンロールなコード進行だと、楽器隊の安定感がグッと前に出てくるよね。ヒーセもアニーもエマも、ほんと素晴らしいミュージシャンだと思う。吉井和哉は彼らと会えて幸せだよ。

#空の青と本当の気持ち

恥ずかしながらカラオケでよく歌ったなあ。みんなイエモンのカラオケって言うと『JAM』とか『追憶のマーメイド』とか『Tactics』とかなんで、このタイトルが表示されても「???」ってなるんだけど、聞いたらみんな好きになる(俺の歌がうまいわけではない)。ユニコーンの『開店休業』みたいな立ち位置の曲。メロディだけじゃなく、例によって「難しい感情を簡単に表現している」という意味ですごい名曲だと思う。

#シルクスカーフに帽子のマダム

吉井和哉が初めて自分の曲に感動して泣いた、って曲。そら泣くわ。素晴らしい曲です。こういう、「ちゃんと歌詞を追う意味」のある曲を聞くと、心が豊かになった気がする。小説を読むのに似てるね。3:20〜のギターソロもいい。

紹介できない曲

紹介したいけどYOUTUBEに上がってない、っていう曲が意外と多くて、でもまあしょうがないよね。『DONA』とか『HARD RAIN』とか『4000粒の恋の唄』とか、いっぱいあるんだけど。とはいえ『JAM』しか知らない人に、イエモンってばすごいバンドなんだぜ、ってことが伝わればいいなあと思って書きました。何かのキッカケになったら幸いです。


↓おっさんパンクスの恋愛小説書いてます。毎日更新中。


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