【シカとサルと滝】ひとりで屋久島に行ってきた。 その6
さて、屋久島レンタカーぐるりの旅、続きを書いていきます。目次はコチラ。
⑥キヨコンネガイ
矢筈嶽神社および一湊灯台で1時間ほどかかり、時刻は11時ちょい過ぎ。もうキヨコンネガイのランチタイムも始まっている時間だ。
ということで、戻ってきました。
入り口の仕立てもかわいい。ちなみにこの「キヨコンネガイ」というのは屋久島の方言で「キヨコさんの家」という意味らしい(キヨコさんというのがオーナー馬場さんのお祖母さんの名前だというのは後で知った)。
中はこんな感じ。靴を脱いで入ります。いや素敵。
よく知らないけど、ここはシェアハウスでもあるみたい。二階には部屋があるんでしょう。
ということで再び迎えてくれたオーナー馬場さんに、(昨日スナックでおすすめされていた)「サバ節のクリームパスタ」セットをオーダー。
「神社、どうでした?」
厨房で料理を始めながら馬場さんが話しかけてくれる。まだ11時過ぎということもあって、客は自分だけだ。
「いやもう、素敵でした」
「奥まで行ってみました?」
「はい……すごかったっす」
満足気にうなずく馬場さん。
そんなこんなでお料理が。まずはサラダとスープ。素材の味、って感じで優しい。
来ました「サバ節のクリームパスタ」。これね、うまいんすよ。全然魚臭さとかなくて、でもちゃんと魚の味がして。食べたほうがいいよこれは。
で、食後にはコーヒーとデザートなんですが、馬場さんがニコニコ(ニヤニヤ?)しながら近づいてきて、こんなものをテーブルの上にドンと。
コーヒーミルって言うのかな、コーヒー豆をガリガリと挽くマシン。
「うちはお客さんに自分でガリガリやってもらうんですよ〜」
なるほど楽しい。で、ワクワクしながらガリガリやり始めたんですが、意外と大変なのな(笑)。ガリガリゴリゴリ、ガリガリゴリゴリ、けっこうな回数やりました。いや、おもしろかった。
ということで、お手製のデザートと、自分で挽いた豆で入れたコーヒーを。これも劇的においしかった。聞けばコーヒー豆自体も有名なやつみたい。自分でガリガリゴリゴリやったからか、格別の味。
で、ペロッと全部いただきまして。
お腹も満たされたので「じゃあそろそろ〜」と立ち上がりかけたところで、厨房から馬場さん登場。
「これからどこ行かれるんです?」
「あんま決めてないんですよね。なんかテキトーに」
「え! ダメですダメです」
と、馬場さん自分の隣に腰を下ろすと、裏紙を引っ張ってきて何やら書き始める。どうやら屋久島の地図のようだ。
「まずここがこの店ですね。一湊っていうんですけど。で、ここからこんな風に進むとここにも灯台があって……」
「ほうほう、なるほど」
「で、こっから西部林道なんですけど、基本携帯の電波は入らないんで注意ですね。トイレもその前にいっとた方がいいかも」
「ほうほう」
って感じで、驚くほど詳しく教えてくれる。
結果、出来上がった地図はこんな状態に。
温泉やらアクセサリーショップやらCafeやらいろんな場所を教えてくれて、本当に本当に感謝。この地図があったことで、楽しさが何倍にも膨らんだ。ただフラッとやってきた観光客一人に対して、こんなにも丁寧に対応してくれるんだなと感動したね。
あらためて、ありがとうございました!
⑦いなか浜 海亀産卵地
ということでキヨコンネガイを後にし、ドライブ再開。実はランチしている間に天候が一気に崩れて大雨が降っていたのだけど、運転を始めたら徐々に回復。なんか、意外と自分、晴れ男なんだろうか。
で、上記の地図にも書かれている「いなか浜」でちょっと休憩。ここは観光地としてもかなり人気が高いらしい、海亀の産卵地である。
とはいえ、ご覧の通り海亀の姿はない。それもそのはず、海亀が産卵を行うのは夜の時間だ。そもそも自分が屋久島に行った4月は微妙にシーズンオフなのだ。
ということで、ここは早々に退散。そもそも気持ちは既に、かなり楽しみにしていた「西部林道」に向いているのだ。
⑧西部林道
西部林道は、屋久島の中でも唯一、海岸線から世界自然遺産に指定されている地域を走る林道である。つまり、世界自然遺産の中を走る道路ということだ。
場所でいうとこんな感じ。
縄文杉トレッキングのときにも感じたことだが、世界自然遺産の中では、人間の都合よりも植物の保護が優先される。植物の世界に人間が「お邪魔させてもらう」感覚だ。もちろん、植物にとってNGなことを一切行わないという前提で。
そんなわけで、この西部林道、車が走れる道路として整備されてはいるものの、決して「走りやすい」道ではない。車幅は狭いし、野生動物が当たり前に道を横切るし、落石なんかも割と多い。そんな話を昨日のスナックでも聞いていた。
ちなみに前回の投稿で、島を車で回るなら「反時計回りのほうがいい」と言われていたと書いたが、その理由の一つがこの西部林道だ。左側通行である日本では、反時計回りで進めば自分の車が常に「山側」になる。逆に言えば、時計回りの車は「谷側」になるわけだ。
山道の運転に慣れていない(というか、そもそも車の運転が得意ではない)自分のような人は、満足に整備されていない細い道路で対向車とすれ違う際、山側のほうが多少は安心である。転落の危険もある谷側ギリギリを走るなんて恐ろしすぎる。
ということで、緊張しつつもワクワクしながら林道に入っていった。ここからは例によって写真で雰囲気をお伝えする。
……と言いたいところだが、如何せん林道の運転自体にビビってる状態で、撮影すると言っても停車→急いで撮影→発進、という形になるわけで、結果、3枚しか撮れなかった。
って、全部動物の写真。
運転してて「シカだ!シカだ!」「猿じゃん、猿!」そんな風に興奮している自分が昨日のことのように思い出される。
ちなみに、シカは割とたくさん見た。猿は1度だけ。
とはいえこの猿、写真ではわからないけど、結構な頭数の群れだった。10匹以上はいたんじゃないかな。窓を開けてると車内に侵入して食料を奪っていく、なんて話も聞いていたので、慌てて撮って逃げるように発進したんだけど。
さて、そんなわけで写真はダメダメだったけど、西部林道はものすご〜く良かった。普通の道路とはまるで違う景色がたくさん見れたし、窓を全開にして走ってたからか、独特の空気感も感じることができた。控えめに言って最高のドライブだった。次に来る時は徒歩でもいいかも。
⑨大川の滝
西部林道を出てしばらく行ったところに、「大川の滝」がある。キヨコンネガイの馬場さん曰く、屋久島にはたくさんの滝があるが、中でも有名な滝が2つあり、1つがこの「大川の滝」、もう一つが「千尋の滝(せんぴろのたき)」なんだとか。
ということで寄ってみることに。
国道から脇道に入ってぐるりと下の方に降りていく。そこにはちゃんと整備された駐車場があって、思った以上の観光客が集まっていた。
※ちなみに、自分が屋久島に行ったのはGWのちょうど1週間前。観光客の数で言えばめちゃくちゃ少ない時期らしく(そりゃそうか)、おかげでどこに行っても空いていて快適だった。
駐車場にて。周りは山、山、山。
さて、滝です。
結果から言うと、最高でした。
雄大。圧倒的雄大。
……なんだけど、自分の下手な写真だとその迫力が1%も伝わらない。
動画も撮ったので一応。
うーん、ダメだな。まったく伝わらない。これはもう、現地に行って見て感じてもらうしかない。
逆に言えば――
そう、これは今回の旅を通じて痛烈に感じたことだが、写真や動画、あるいはネットに置かれている様々な情報というのは、現地で実際にそれを体験するのと比べると、非常に表面的かつ無機的だ。
その場に立って自分の身体全体で状況を感知して初めて、ネットで見た情報とは比べ物にならないほどの量と深さと生々しさを持った「情報」が手に入るのだ。
前も書いたが、ネットの情報を「面」とすれば、現地で体験する情報は「立体」である。面的な情報と、立体の情報。その差をあらためて知ることができただけで、今回の旅には価値があった。
……とかなんとか偉そうに書いてるけど、もう少しいい写真や動画を撮れよ、って話でもあるよな。反省。
関係ないけど滝から駐車場に戻る途中、かわいいヤツを発見。
さて、ということで、屋久島レンタカーぐるりの旅。やっと島の半周ほどが終わりました。次回もお楽しみに。
↓パンクス小説毎日更新中↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?