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四万温泉旅行記その2

前回はこちらから

 大学も冬休みに入り、来年から無職の人間にクリスマスイブは関係がない。というわけで四万温泉旅行記の続きを書いていこう。
 私は出身が北海道なので、正直雪は見慣れているものだが、それでも初雪はワクワクしてしまう。この日は東京も寒く雪が降っていたらしく、なおさら群馬の山中では寒かった。
 積善館を出て奥四万湖までの道を歩いていると雪は次第に強くなっていった。ランチ営業をしている店はちらほらあったが、観光客はまばらで静かな雰囲気である。後から聞いた話では四万温泉は5月頃の湖の美しさや紅葉が評判らしく、年末前なこともあってオフシーズンだったのだろう。私は人がいない方が気が休まるのでとても満足である。あまりに人がいないと寂れていってしまうというジレンマがあるのだが。

スマートボールも開いていなかった

 気温はマイナスになるかならないかぐらいで、ダウンですらないコートでは湖までの道で凍りついてしまいそうだった。しかし道沿いにはいくつか外湯や足湯があることを調べていたので、そこで温まりながら進んでいく作戦を立てていた。
卒論が終わった高揚感や、ちょうどいい雪のちらつきで上機嫌になりながら歩いていたが、次第に雪は強くなっていった。写真のようにショベルカーなど使う工事をしていたが、雪では工事現場は止まらないらしく、お兄さんたちは作業を続けていた。寒い中あまり無理しないで欲しい。

こんな寒い中で働くのか…

 そんな中たどり着いたのがゆずりは飲泉場である。なんと足湯と飲泉場が一緒になっている。攻守とも隙がない二段構えである。飲泉にはなんとなくおいしくはないイメージがある。パッと思いついたのは有馬温泉の炭酸泉だ。シュワシュワとしながらも血の味、つまりは鉄の味がする独特で不思議なもので、お世辞にも美味しいとは言えず、ゴクゴク飲めるようなものではなかった。炭酸煎餅はとっても美味しかったが。
そんなイメージが強かったので、恐る恐る飲んでみるとまず温かい。前述した有馬温泉の炭酸泉は冷たく、他でもなんとなく冷たかったような記憶があったため、これには驚いた。寒い中歩いてきた身にはよく沁みた。

綺麗でよかった

 手や足を温めて進んでいくとさらに雪が強くなっていった。少し標高が上がったのか、日陰には雪が積もっているところがちらほらと見られる。そこで出会ったのがサルである。先ほども言ったように私は北海道出身なので、野生のサルに馴染みがまったくない。よく見るのはキツネやシカであり、サルは動物園でしか見たことがなかった。
 本来なら今年の2月に渋温泉に行く予定があり、地獄谷で見るのを楽しみにしていた。しかし雪のせいで高速道路が止まり、バスが運休になってしまったため旅行がおじゃんになってしまった。そのため野生のサルとは初対面である。
 雪がちらつくせいでピントはバッチリとは合わなかったが、もこもことしたさると雪のふわふわとした感じがマッチしており、良い雰囲気の写真になったのではないだろうか。すぐ逃げてしまったため撮れなかったが子連れのサルもおり、芽なのか実なのか何かしらを食べていた。軽く調べただけだが、猿は元々温帯の生き物で、ニホンザルはサルの中で最も北に暮らしているらしい。世界で見ると結構レアな生き物だったりするのかもしれない。野生かと思いきや人に慣らされている生き物にはすこしガッカリしてしまうので、自然の中で生きている動物の写真が撮れる時はとてもワクワクする。

その3へ続く。

人慣れしていない感じがよい

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