ふたつのアンソロジー
2冊の素敵な本に出会いました。各1周目の感想を、誠に勝手ながら、書かせていただきます。
一作品目は、『時ひらく』。
実家に帰った際に玄関に置いてあり、『伊坂幸太郎』『恩田陸』『東野圭吾』の文字に目を惹かれました。
本好きの母親によると、人気作家6名が東京の三越を舞台に書いた物語を連ねた作品とのこと。古本屋に持っていこうと思ったが、ふと、「わたしが読むかもしれない」と思い、置いておいてくれたとのこと。はい。読みますとも。
東野圭吾作品は、中学生の時から順次むさぼり、実写化された映画もつまみ食いしました。わたしにとって、いつも期待以上の読了感を与えてくださる存在です。
伊坂幸太郎作品は、社会人になってから味わい始めました。読んだ順番に、『逆ソクラテス』『オーデュボンの祈り』『マリアビートル』『グラスホッパー』。東野圭吾作品と同様、何を選んでもおもしろいという印象です。
恩田陸作品は齧ったこともないのですが、ここ最近どこの書店に行っても売れ筋ランキング上位の棚に置いてある『Spring』という作品が気になり、お名前を知りました。
『時ひらく』の中では、3つ目の物語、阿川佐知子さんの『雨あがりに』が、1番心に残りました。
2か月ほど経ち、脳に残っているのは、辻村深月さんの『思い出エレベーター』、伊坂幸太郎さんの『Have a nice day!』、東野圭吾さんの『重命(かさな)る』です。
二作品目は、『よい花はあとから』。
素敵な出会いの重なりの中で、1番後ろのページに組み込まれました。
長野県でフリーライターとして活動されている風音(ふうね)さんが、ご自身を含めた23名の著者と、イラストレーターのgomameちゃん、フォトグラファーのMei Miyashitaさんの、それぞれの「春の少し前」を集めた作品とのことです。
chihoさんの『好きだけど、全部は好きじゃない』。Azukiさんの『静かな時間』。竹花青藍さんの『立って半畳寝て一畳、次の住まいも六畳間』。特に心に残りました。
脳に残ったのは、星野ぱんつさんの『ぱんつを履くわけ』です。
ふたつのアンソロジーと31の作品に触れて、あらためて、世の中に発信することの崇高さを教えていただきました。
アンソロジーとは、特定のテーマで複数の作家の作品を載せた作品集のこと。お目当ての作家さんに期待し、他の作家さんの作品を知る。同じ本を手に取った方々には、それぞれの物語がある。なんだか、マルシェみたいだなと思いました。
読み終えた本が溜まってきたので、(そして、基本は読み返さないので、)来年はわたしも、古本屋としてマルシェに出店する所存です。