サワラの西京焼き

サワラの西京焼きですが、最強の埼京線でした。

さていよいよ肺がカビた話のクライマックス、第4話に入ります。

もうね、翌日が手術なので執刀医から詳しい説明があったんですよ。

以前でも触れましたが、私の肺って胸膜と癒着しているので、まずこれを剥がす必要があります。

普通、右肺の上葉を切除する場合は肋骨の間に穴を開け、そこから内視鏡を使って患部を切って取り出すそうなんですね。

しかし肺と胸膜が癒着して賄賂まで貰っているとなると不可能なんで肋骨を外し、内視鏡で右肺全体を剥がしてからになるんだそうです。

通常であれば1時間程度で終わる手術が、9時に始めて終わるの夕方とか言われました。

夕方といったら16時くらいじゃないですか、7時間じゃないですか、息子のせいで6時間も余計にかかるじゃないですか。

なんて事をしてくれたんでしょう、息子は。

そんで説明を受けたら病室に戻るじゃないですか。

そしたら気付いたんです。

この病室、爺さんしかいないんですよ。

結核で入院した時は重鎮とか爺さんも確かにいました、でも20代とか30代の兄ちゃんもいたんです。

それが見事なまでに爺さんだらけですよ、一番若いのが50代の私ってどういう了見ですか。

とりあえずまだ元気なんで病棟内を不審者みたいに散策するじゃないですか。

呼吸器の病棟って若い人がほとんどいないんです、糞コロのせいで面会者もいないから看護師さんくらいなんです。

でもね、ナースステーションを見ていたら看護師さんは揃いも揃って可愛いんですよ、なんか受付に藤田ニコルがいるんですよ、机で若い頃の中山忍が書類を書いてたりするんですよ。

俄然やる気が出てきました。

何をやるんだと突っ込まれても困りますが、やる気になったんです。

PSPを入院用で新調したからモンハンですよ、PSPだからモンハン持ちが出来るんですよ。

周りにPSPなんか持ってる爺さんはいないので、とりあえずソロの村クエストを始めました。

ある程度ストーリーを進めて明日の手術に備えて早めに寝ようとしたんです、消灯時間になったから寝ようとしたんです。

ウトウトするじゃないですか。

そうしたらナースコールですよ。

なんか隣でピーピー鳴ってるんです、そしたら看護師さんが来るじゃないですか。

看護師さん2人なんです、1人じゃ来ないんです、爺さん1人につき2人体制なんです。

そんで看護師さん2人がかりで色々と作業して終わったら帰っていくじゃないですか、私も安心して寝るじゃないですか、ウトウトするじゃないですか。

そしたらナースコールですよ、またピーピー鳴ってますよ。

もうね、ウトウトとピーピーのインフィニティな無限ループで全然眠れません。

私も諦めて耳栓とアイマスクを装着し、壁の方を向いて寝ました。

【 次回予告 】

求めても、求め得ぬもの。

望んでも、望み得ぬもの。

狂おしいまでの渇きが、叶わぬ思いが、カビキラーと痛み止めを生む。

心に地獄を持つ中年の、不可思議なる睡眠不足が、壮絶なるオペを生む。

次回「麻酔」

流される己の血潮で、渇きを癒す。