教職員向け弁護士費用補償保険について①
増え続けるモンスターペアレント
近年、学校現場で教師を
取り巻く環境は複雑化しており、
その中でも「モンスターペアレント」と
呼ばれる、過度な要求や理不尽なクレームを
繰り返す保護者との対応が大きな課題となっています。
もちろん保護者ですので、
ほとんどの方が、ご自分の
愛するお子さんを救おうとするが
故の行動であり、それ自体は問題ではありません。
ただ、一部冷静さを失い、
行き過ぎた言動や行動に
発展してしまったりする方がいらっしゃるのです。
このタイプの方々は、まず、
プライドが高く、承認欲求が一倍強い傾向があります。
ご自分の正しさが認められるまで、執拗に攻め続けるのです。
攻め続け、
相手がおびえているのを感じ、
そこに快感をおぼえるのでしょう。
これは、いわゆる
自己愛型パーソナリティ障害の可能性があります。
自己愛型パーソナリティ障害の人は、
自分は優れている、特別扱いを
受けて当然だと思っており、
周囲に対して自分がどのような圧力を与えているかには無関心です。
なので、相手がどれだけ
弱っていても、攻撃の手は緩めません。
こういったモンスターペアレントは
増え続けていて、それが原因で教師を辞めてしまう方もいます。
しかしながら、
教師を守る根本的な
解決策は整っておらず、
現場の個々の対応に任されてしまっている状況です。
クレーム対応に追われる学校、行政
私は、行政の管理職の時代、
教頭、校長の時代も
このモンスターペアレントにかなり悩まされました。
たとえば、以下のようなことです。
〇体育の授業中に起こった
軽度のけがが発端となり、
保護者が教師の指導不足を主張して裁判沙汰に発展した。
〇ある教師が、授業中に
暴れる生徒をねじ伏せてしまったことで、
その生徒が不登校になり、教育委員会が保護者から賠償金を要求された。
〇先生がわが子ばかりに注意する。
そのことで、子どもが精神的な
トラウマを負っている。だからその先生をやめさせろ。
〇うちの子どもが清掃時間に、
他の子から清掃のしかたについて
強い注意を受けた。
そのことで、うちの子どもは
学校に行かなくなった。
これはいじめである。
よって、教師を処分せよ。
これは、ほんの一部です。
おそらく、教育委員会や学校は日常的に、
大小数十件のクレームを抱えているのがふつうでしょう。
文科省の対応
文部科学省は、
このような、保護者からの
過剰な要求や不当な要求への対応として、
どのような取組を行っているのでしょうか。
文部科学省が行っている主な取組は以下の通りです。
〇情報共有とマニュアル作成
全国各地の教育委員会が作成した、
保護者からの過剰な苦情や不当な要求への
対応マニュアルや手引きを収集し、情報を共有しています。
〇外部専門家の活用
学校や教育委員会が、
スクールロイヤーやSSWなどの
外部専門家の力を借り、
複雑な問題への対応をサポートする体制を整えています。
〇研修の実施
教職員向けに、
保護者とのコミュニケーションスキル向上や、
トラブル発生時の対応に関する研修を実施しています。
〇相談窓口の設置
教職員が抱える悩みや相談に、
専門家が対応する相談窓口を設置しています。
いかがでしょうか。
まあ、私からすると、
「文科省も見て見ぬふりはしていないよ」
といった、アリバイづくりのような取組ばかりです。
ここまで事態が悪化すれば、
本当に必要な取組というのは
「法整備」であるはずなのに、
それには着手できていません。
お隣韓国では
一方、お隣の韓国でも、
同様の問題が起こっています。
2023年夏、保護者からの
クレームが原因で、
学校教師が自死するという痛ましい事件が発生しました。
この事件を受け、
韓国の教職員組合は、
教師の労働環境改善と
過度な業務負担の軽減を求めて、
大規模なデモを行いました。
デモに参加した教師たちは、
「教師も人間だ」
「教育現場の現状を放置できない」などと訴え、社会に大きな衝撃を与えました。
韓国の場合、
このことに対する政府の動きは迅速でした。
この事件とデモを受けて、
韓国政府は、教師の労働環境改善に向けた
対策に乗り出しました。
具体的には、以下の様な取組です。
〇教育現場への支援強化
教師の業務負担を軽減するため、
教員1人当たりの生徒数を減らす、
事務作業を減らすなどの対策が検討されています。
〇保護者教育の強化
保護者に対して、
教師の役割や重要性を理解してもらい、
教師を尊重する風潮を醸成するための教育が実施されています。
〇法整備
教師に対する名誉毀損や
脅迫行為を厳しく罰する法律の整備が検討されています。
どうでしょうか。
日本の対応と比較すると、
具体的で実効性のある取組が
実施、あるいは検討されていると思いませんか。
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