寒草

クリームの中に厚ぼったいバニラが香りめく街で
また、歩いていく
さよなら帽子に塗れた山人よ
ここからはクリームソーダを持っていきなされ
そこからほどなくすると
看板を背負った、アイスクリームとは程遠い
パセリの匂いがする歌人が現れた
移り行く街の片隅の中に心が解け合うような
フリフリのミドリガメが歩いている
そこから見える景色はどうなのかと聞いてみるが
甲羅を七つの色に輝かせ燦然と歩いている
ここの町は酷く冷える
冷気を纏わせながら灰色の息を吐き
ストーリーランドに足を踏み入れる
乱闘の夜明けの中に消えるような歌声が耳に入る
微かに聴こえないそんなマーマレードの形を耳から食べながら
颯爽と駆けていく
心残りは夜明けを跨げないことだと逡巡した

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