あのこじゃないと、だめなんだ④
実は 大きな痙攣発作を起こす前に、小さな痙攣を何度か起こしていた。その場に居合わせるのはいつも長男。だからなのか、あまり深刻に感じていなかったのかもしれない。
いつもの獣医さんは「いまはもう、みとりの時期です。いつまた、発作が起きるかわからないし、突然死もありえます」と言っていた。
その話を聞いて、あのこをつれて相方と車で出掛けた。行き先は、小さかった子供らと一緒にいっていた大きな公園。
広くて緑がいっぱいの、おいしい空気が吸える場所でのんびりしたかった。近いうちに別れがくるなんて考えたくなかった。
もう、あのこは、たくさんは歩けなかった
けれど、普段の散歩コースでは嗅げない匂いをかぎ、景色を見て、貴重な時間を一緒に過ごすことができた。
あのこは大きな痙攣発作をおこしてから、左半身に麻痺が残ったのか、ふらついて立ち上がれない。歩けない。あれ、目も見えてない。いろんな所に頭をぶつけている。オムツをつけ、食事や水は口元に運ぶ。
相方も私も仕事があり、見てられないその間が心配すぎる。段ボールでサークルをつくり、転倒防止対策をする。夜出勤の長男が、昼間は様子を見てくれることになった。心強い。
相方は老人介護職のベテラン、自分も過去に介護職を数年。わんこの介護生活で必要な事は自然とできていた。
食べ物はこれまでのフードを全く食べようとしないので、メーカーをかえ、野菜やササミをゆで、ちゅーる的なものもトッピングしてなんとか召し上がってもらった。食べてくれると心から嬉しかった。(元々が食いしん坊だったので食の心配をしたことが無かったのです。)
薬はうまいこと食べ物に混ぜないと、飲んでくれない。飲むか飲まないかでその日の心配度が違っていた。じわじわと気持ちは追い込まれていたように思う。
そうこうしていたら、少しづつあのこは回復して、発作前のように散歩にでられるようになった。食事と投薬は相変わらず綱渡り。オムツも必要ではあったが、このまましばらく穏やかに過ごせるかな?なんて考えていた。
そして、その日は突然くるのだった…。
…⑤に続きます⭐️