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70代母と20代娘と40代夫婦で横浜~東京旅⑦
──このレポートは、昨年秋の内容です。
荷物整理や明日の準備等しながら、のんびりしていたそんな時、昨夜宴を開いてくれた妹から、メッセージが届く。
『明日、空港に見送りにいくね』
──ひぃ!あの人空港来るってさ!
四人で対策会議をスタートする。
昨夜の宴は穏やかに和やかに過ごせて、本当に良かったと思う。
だが、この妹は、自分が一番正しくて、一番賢い…という感じで、自分を信じすぎているせいで姉妹間、親子間などで、数々の衝突が起こっている。
メッセージの返事も、細心の注意を払わなければ、何かが起こってしまう。せっかくの旅の最後にそれはごめんだ。
おまけに、明日の見送りには、なぜか職場の上司(交際相手と思われる)と一緒に空港に来るという。その人と妹との関係性が不透明なので、ダブルで接し方に困る。
搭乗手続きや、お土産の物色、お昼ごはんを食べるなど、空港でもミッションがあるのに、場を引っ掻き回すことが得意な妹がくるなんて…気持ちはありがたいのだけれども。
『一緒にランチしよー』
追加でメッセージが来た。もう、引っ掻き回し始めている。
『バタバタしてタイミング合わなかったら、ランチは難しいかも ごめんね』
と、長女と練った返事を送り様子をうかがってみた。
すると…
『わかるよ、私も見送られるの苦手だから 気にしないで』
と、返事がくる。わかるのに、見送りに来るのね!?
残念ながら、お互い気持ちは一方通行だ。腹をくくるしかない。 時間と余裕があれば皆でランチする。無理だったら、すぐにさよならして搭乗口へ駆け込む。
気を取り直して、長女とお土産を見せ合う。私が末っ子へのお土産に買ったヘアピン型の組分け帽子と、長女に贈った本物サイズの組分け帽子を並べて写真を撮る。それをみて、母が「私も買おうか悩んだけど、買えば良かったー」と、うなる。
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一瞬、末っ子にあげるのをやめて母に渡そうかとも思ったが、それは違うなと心を鬼にして、スルーした。だって母は、自分で買わないと選択しているのだもの。
我ながら冷たいなと思う。が、優しい態度をとると、どこまでも寄りかかってくる恐れがあり、適度に距離をとらないと、こちらがもたないのだ。
くたくただった四人はあっという間にベッドに吸い込まれてた。
妹の襲来が気になり、早く目が覚める。今日も晴れている。この旅は雨にあたることなく、寒さに震えることなく、本当に天候に恵まれた。感謝。
空港までは、母に配慮してホテルの前から乗れる便利なリムジンバスを予約した。昨夜、空港までの移動について調べていたら、発見したのだ。ネットで予約もできた…便利な情報も、システムも本当にありがとうございます。
朝ごはんをコンビニで調達。宿泊客でごった返している。主に外国人の方々。胃に優しい食べ物と、オロナミンCを購入。母は一人で喫煙所に向かう。よかった、元気そうだ。
時間に余裕を持って行動できるようにと、チェックアウトとリムジンバスの時間を調整していたら、少し暇な時間が発生してしまった。1~2時間位空くなら、新大久保へ行って、韓国文化が好きな母を喜ばせたかったのだが、そこまでの時間はなかった。窓から、街並みを眺める。自分が東京に居るということが不思議だ。旅に出るといつも思う。
旅の終わりが近づいてくる。しかし、浸るのはまだ早い。妹が見送りに来る。もめませんように…!
太陽に暖めてもらいながら、長女としゃべりながらリムジンバスを待つ。北海道に戻ったら、別々のおうちに帰るから、色々話せる時間は貴重だ。バスに乗っても隣同士で座る。母は老人相手のプロの夫に任せておく。
バスは途中でターミナルに寄った。外国人スタッフが寒そうに立っていた。乗り込む客の誘導をしてくれてるようだ。
日本語難しいし、日本独自ルールもあるし、大変だろうに日本で働いてくれてありがたいと感謝の気持ちを感じる。日本に旅行しに来てくれる人にも同じように思う。
自分が海外へ旅に行く事を考えたら、想像だけでギブアップだ。まず英語が話せないのが辛い。武器が一つでもないと、不安で楽しめないと思う。
長女の近況話を聞いているうちに、空港に到着。母と夫はほぼ無言だった。寝てたのか?
搭乗手続きをオンラインで済ませ(便利だ、AIRDOありがとう) 、お土産を買い、キャリーバッグに詰め込んで、荷物を預けよう。夫は職場の同僚にちいかわの東京ばな奈を買ってこいと、リクエストがあったらしく、売場を探していた。
末っ子や職場の若者にちいかわファンがいるので購入する。こちらの売場も外国人スタッフ。淡々としており、愛想笑いの交換が発生せずスマートで良い。
キャリーケースの中にお土産を詰め込む。スモーカー達は喫煙所へ消えた。自分は荷物番&詰め込み係。そんな時、「すみませーん」女性2人組が。なんかヤバいと身構える。
残念ながら、荷物を詰め直してる最中で、「ごめんなさい、今忙しくて」と断っても連れが来ないとスーツケース3つを持っては逃げられない。
観念して話を聞くと、荷物の圧縮の社会実験をしていて、この活動に彼女らの未来がかかっているという。安全な方法で衣類を圧縮して、キャリーケースを快適につかえるようにしてくれるとの事だ。(ざっくり)
私と夫の荷物も長女の荷物も、お土産用のスペースを確保済みで、必要なかった。母の漬け物石が入ってそうなスーツケースは、ぎちぎちでお土産は入らない。よし、いささか不安だが、お願いしよう!
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その作業を見守る間にアンケートに答えていく。パーテーションのメーカーの人も一緒に活動?しており、透明だった壁がスイッチで白い壁になる物を紹介してくれた。以前話題になった丸見えの公衆トイレに採用されているテクノロジーだという。
母の衣類が小さな四角い塊になっている。キャリーケースの中に余白ができた。ありがとうございます。
この活動を将来的には有料サービスにするビジネスに繋げたいようだ。良いと思う。衣類が痛むことなく圧縮できるのなら。人の困り事を解決できるって素敵だ。成功してほしい。
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そして、荷物を預けたタイミングで、妹から空港に到着したと連絡が入った───