討議「生きることの意味を問う哲学」

前回の記事からの進捗をまとめたいと思います。


私が買ったのは現代思想の2019年11月号。

その中でも前回私が読んだのは、森岡正博と戸谷洋志による、巻頭の討議「生きることの意味を問う哲学」でした。

はい、まだこれ以外読んでない。笑

とりあえず、この討議を読んで思ったことと、わからなかった単語をひたすら書いてみようと思う。


私の感想

・主役はベネター

今回のテーマである「反出生主義」を考える上で取り上げられているのが、ベネターの『生まれてこないほうが良かった』という著書(これが、私が友達の家で見た本である)。

ベネターが、反出生主義者であると。

それに対して、この討議をしているうちの森岡さんが、自分は生まれてきて良かったんだ、っていう「生命の哲学」を目指していて、その中で仮想敵としてベネターを置いている、ということでしたね。

まぁ他にも色々名前が出てきたんだけど。

・二項対立を崩す


私が面白いな、と思ったのは原始仏教の話。
仏教の専門家ではないので、解釈が正しいかはわかりませんが、という前置きがありましたが。

輪廻転生は苦しみであり、解脱を目指す=生まれることの否定=反出生主義

ただ、人間界に生まれれば、ブッダのように解脱できる可能性がある

解脱(生まれることを否定)するために生まれることは肯定される=出生主義

という解釈が成り立ち、一見二項対立であるものが共存する可能性がある。

これすごく面白いなと思った。

出生主義と反出生主義は対立するようで共存も可能であるっていうのが。すごい。

・「良かった」は誰にとってか

あと「生まれてこないほうが良かった」を考える上で、注目すべき箇所がいくつかあるけど、「良かった」っていうのは誰にとってかを考える必要がある、と。

なるほど。

世界のために、こんな自分は生まれてこないほうが良かった、のか。

こんな人生なら、生まれてこないほうが良かったのに、なのか。

そして、それらは別々のようで、完全に切り離して考えることもできないし、その視点はうつろいやすいものだ、と。


そういう意味では、Sound Horizon『絵馬に願ひを!』の姫子ちゃんは、後者だろうな、と思う。苦しい人生を歩むくらいなら、最初から生まれないことこそ幸せじゃない?っていうのは。うん。

・「人が人を誕生させて良い理由」

しかして。
私が一番嬉しかったのは、次のことである。

ベネターの理論は穴があるし、大体はショーペンハウアーがすでに言っていて、オリジナリティがない。ただ、功績をあげるとすると「人は何故人を誕生させて良いのか?」という問いを提起したこと。

人は、何故、人を誕生させて良いのか。

どのような根拠、理由で。


これですよ、私がずっと考えているのは。

まだnoteで書いてなかった気がするので、ブログのリンクを貼っておく。


子供を産むかを考えていて。(妊娠している訳ではない。そもそも望むか、という話。)

子供が欲しい理由はいくらでもある。
でも全部、私の為。私のエゴである。

それに、私自身が納得できない。

だって子供は、私のために生きるんじゃないから。

じゃあどんな名分で、私は新しい生命を誕生させていいんだろう。権利があるんだろう。

でもそんなこと、世界はあまり考えてなくて。

だって、本能だからね、生き物の。子孫を残すことは当然で、疑いようのない、権利というか義務で。


と思ってたら。
疑問を提示した哲学者がいた、と。

これは嬉しかった。

あ、同じようなこと考えてる人いた、とも思ったし、
あれ、じゃあ考えてることを言えば、哲学できるんじゃ?とも思った。うん。

さて、結局、問いが功績なのであって、討議の二人も「今後考えていくべきこと」としていて、つまり誰もまだ答えを出していないのである。


確かに、これまでの哲学者の見解は、ほとんどが「子供は希望」だった。産んで当然。希望の象徴。いいもの。

でも、それは果たして「子供自身にとって」であっただろうか、いやない。

社会の存続のためだったり、健全な社会の多様性のためだったり、社会の希望のためだったり。

子供自身にとって、ではなかった。
それって結局全体主義的なところがあるんじゃないか。

統制された繁殖を否定しつつも。


ということも書いてありましたね。そうなんだ。これまでの哲学者。社会にとって子供は必要な存在、ということは議論されていたけど、子供自身にとってその生がどうとかはあまり議論されてこなかったと。

で、それをやりたいのが森岡さん。覚えましたし。


「人は何故人を誕生させて良いのか?」

については、多分古典ばかりを読んでもだめで、今後の動向も注目しないといけないのね。

・実存の問題と論理ゲーム

さて、あと面白かったのは、

哲学、というものには、自分自身の実存の問題、という側面と、論理ゲームという側面があるんだろうな、ということ。なんとなく雰囲気を感じただけで、それぞれの言葉の意味をちゃんとは理解してないんだけど。


実存の問題っていうのは、そう思って、ってことよね。

まじ人生最悪。生まれてこないほうが良かったわ。

ってことだ。


論理ゲームっていうのは、

世界にはこんなことがありますよね。これはつまりこういう意味で。これが正しいとするのであれば、人は生まれてこないほうが良かった。

みたいな感じ?

さっきの原始仏教の話みたいな。言葉とか論理を繋げていったらこういう結論出るよね、ってことかな。

で、『生まれてこないほうが良かった』のベネターは、自分がそう思っているというよりは、論理ゲームをしているだけの気がする、と書かれていました。

そうなんだ。

そのうち、『生まれてこないほうが良かった』を読んでみようかな。


私の初見の感想は大体こんな感じ。

知らない単語

と、結構感想は抱きつつ、でも知らない単語がたくさんあった。

もはや言ってる意味がわかんねぇ、ってとこもあった。笑
(読んでいる人に向けて言うと、エマニュエル・レヴィナスのところと、ジャック・デリダのところ。教えて)

まぁ、簡単に説明しているからわからないので、改めてその人たちの本や解説を読むしかないだろうな。

まぁ、と言うことで、知らない人・わからない単語に線を引っ張って、ノートに書き出してみました。noteにも書こう。


〜人〜

森岡正博 生命の哲学
戸谷洋志
ハンス・ヨナス
デイヴィッド・ベネター『生まれてこないほうが良かった』
吉本陵「人類の絶滅は道徳に適うか?」
ハンナ・アーレント『全体主義の起源』
ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』
リー・エーデルマン

〜単語〜

ロングフルライフ訴訟
反出生主義
仮想敵
生命倫理学
選択的中絶の問題
アポリア
形而上学
論理ゲーム
分析哲学
実存の問題
英米哲学系
戦後のドイツ語圏やユダヤ系の哲学
全体主義
政治学的な公共性
ユダヤ思想
パラダイム
命法
通約不可能性
メタ
レトリカル
繁殖性
特権化
クィア理論
再生産的未来主義批判

以上。

雰囲気わかりそうだけど説明しろって言われると困るものも書いてみた。

これって、全部が全部哲学の用語なのかも私にはわからない。一般的な単語かもしれないし、この人たちがよく使っているだけで、一般に哲学分野で使う言葉じゃないかもしれない。うん。

一般的な単語でも、哲学においては違う意味があるかもしれない。

そこから勉強だ。

ちなみにまだ書き出しただけで調べてはない。

ただ、これを全部理解しようとして関連する本とか読んでたらキリがないので、用語であれば辞典的なものをちらっと見てみよう〜と言うテンション。

人と著書は…うーん。いつかは読んでみたいな。


ということで、哲学の用語辞典のようなものと、やっぱり世界全体の流れがわかる本が欲しい!と、本屋に行ってきました。

本屋の哲学書コーナーに行くのは全然初めてのことじゃなくて。よく行くんだけど、こうして単語を書き出してから行ってみると、すごい!目に入る入る。私が書き出した単語がたくさん。!

あ、これはちゃんと哲学の用語なんだな、とか。
タイトルになるくらい、大事な言葉なんだな、とか。
この言葉自体が議論されてそうだな、とか。

面白かった。

まぁ、それらは結局一旦置いておいて。
こちらを買いました。

これは、ずっと気になってたけど、何故かずっと手が伸びなくて。しかし思い切って買っちゃう。

これは、タイトルが本当に本当に嫌だったんだけど(ビジネススキルとして、みたいなのが本当嫌!)、辞典系をパラパラ見て、中身的にこれがよさそうだったので、タイトルを無視して。買いました。

これは…趣味かな?笑
上の討議でもニーチェの名前が出てきたんだけど、私が知らないニーチェの主張で。

ニーチェの本は数冊読んだけど、まだまだだな、と思い。
しかしだからと言って読みたいような本もなく。

なんか日本の作家がニーチェをどう捉えたか、みたいなのが書いてたみたいなので、買ってみました。



次は、わからない〜って書いた単語を少し調べてみて、備忘録としてまとめようかなと思います。

最近、noteの内容がバラバラすぎて、曜日ごとに分けようかな?とか考え中。月曜は小説、火曜は日記、水曜は哲学。とか。まだ、考えてるだけ。


ゆるくでも続けられますように…!



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ローゼン
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