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「後宮の検屍女官3」/小野はるか【読書ログ】
<毎週1冊、小説を読むPJ>… No.10
読んだ日:6.25
3巻にして初めてタイトルを意識した。
「後宮の検屍女官」について
タイトル:後宮の検屍女官 3
作者:小野はるか
出版社:角川文庫
「後宮の検屍女官」と私
こちらは3巻ですが、読書ログを書くのは初めて?かもしれません。
これはもう、書店で見つけたのです。
いつものように私は多分、「後宮の烏」の続きが出てないかな〜「レアリア」の続きが出てないかな〜と書店でぐるぐるしていたんです。
(発売日を調べないで、書店で見つけたいタイプ)
で、中華風ファンタジーがいくつか揃えられているコーナーがあり、もちろん気になって覗いてみました。
十二国記とか彩雲国とか、後宮の烏が大好きなので。
とにかく中華風ファンタジー、というだけで興味があります。
でも、ちゃんと見た訳ではないんですが、なんとなく「恋愛もの」が多い気がした。
中華風で、宮廷が舞台であれば、そりゃ恋愛要素が皆無とはいかないかもしれませんが、メインでは読みたくない気持ち。
だから悪女、だとか、妃!感が全面に押しだされていると、手が伸びないのです。
そこで目に入ったのが「検屍女官」というワード。
確実に恋愛以外のものがメインでテーマであるものに惹かれました。
(最近は、中華風ファンタジーの中でも薬師系が流行っているような気がします。流行るとそれはそれで手が伸びない天邪鬼だから厄介。)
最初の「後宮の検屍女官」は無印だったので、続編が刊行されるかはおそらく決まってなかったんだと思う。
それでも手にとって読んでしまった。読んだら引き込まれて、またこの本を大好きになった。「続きが出ますように…!」と祈りつつ、いつもの書店ぐるぐるリストに「後宮の検屍女官」を追加し、見回っていて2巻を見つけた時の嬉しさ。
それからまだ1,2ヶ月なんですが、もう3巻が出ていました。
読んでよかったか
よかった。よかったよ。
すごい、いい感じだ〜〜!ってなったら!
最後の4行!!!
これ以上は以下ネタバレ。。。
感想
2巻までは、延明の抱えているものと、それに寄り添う桃花、っていう構図があった。
けどこの3巻では、桃花のおかげで前に進み始めた延明と、過去に捉われている桃花、の対比が描かれていたな。
桃花はこれまで、まるで何も気にしていないような印象を受けていたけど、それは現実逃避にすぎないことを、延明が気付いて指摘してた。
しかしまぁ、後宮というのは恐ろしい場所だなと。
これはファンタジーだけど、後宮という機関は本当にあったもので、そこで繰り広げられる凄まじい戦いも、実際にあったものと対して変わらないと思う。
これが人間というものだな。
その点、後宮での権力争いというものが全くない世界を作り上げてる十二国記はすごいな。
そもそも世襲制じゃないし、仙籍に入って人間じゃなくなるので、寿命というものもないし。すごい。
印象に残ったのは、延明が桃花に、「私と共にあなたとあなたの祖父の検屍術を国中で活用してくれないか」という場面。
名言はなかったけど、男子しか官吏になれない世界で、どうにかして、どんな形かで、桃花が検屍に携われるようにする、ということ。
延明が「あなたは検屍女官です」という。
この言葉に、ハッとした。
初めて、タイトルを思った。
「後宮の検屍女官」
それは、ありもしない官職であること。女では官吏になれないこと。桃花は検屍官にはなれないこと。
桃花自身が、これまでは「検屍官の妻になって現場に潜り込む」ことを目標にしていたから、そこまで気にすることはなかった。
でもそれは言外に「自分自身が検屍官にはなれない」ってことを表していて、その事は本当にどうしようもないから、考えても仕方ないので見ないようにしてる。ただそれが、3巻では桃花自身も改めて思い出してしまう部分だった。
女では官吏になれない。
そんな世界で延明が言う、「あなたは検屍女官です」という言葉は、どんなに嬉しかっただろうと思う。
彩雲国物語を思い出す。
秀麗も官吏になりたくて。でも女だからなれない。
男装して官吏を体験したり、王や側近と出会う中で色んなことがあって。
王の発案により、彩雲国では女人登用が認められた。
その年に合格したのは秀麗だけ。
変わったのは制度のみで、周囲の目は「女が官吏など」と冷たい。
その中でも秀麗は一官吏として懸命に仕事をこなしていく…。
そんな世界もあったな。
同じようにはいかないだろうな。
あっちは王で、こっちは一太子のさらに部下。そして宦官。
だから、どうするつもりなんだろう、というところがすごいワクワクした。
ワクワクしたのに!最後の4行!
不穏というか、もう最大の危機でしかない4行でした。怖い。
これは当然、小説なんだから、超えていく困難なんだろうなとは思う。
どう超えるかは想像つかないけど、桃花が頑張れるんだろうか。
でもこれで、梅婕妤が怯えていた理由がわかったね。
「呪殺を謀った」じゃなくて「呪殺」と書いてあるってことは、死んだってことよね。
つまり、梅氏は、権力争いの為に、自らの娘の命まで利用したってこと。
普通に考えて、敵対勢力が頭領をストレートに殺したら、まず疑われるのは自分なんだから、そんなことはしないはず。
梅婕妤は、身内にさえ利用されるかもしれないことを恐れていたのかもな。
と思ったりしました。
早く続きを読まないと心が…。
この小説は、検屍についてはもちろんだけど「宦官」というものに、ものすごく焦点を当てている気がする。
準主役が延明だから必然とそうなるのかもしれないけど、ここまで「宦官」を意識することもなかなかないな。新鮮で興味深い。
そしてこの3巻では、「親子」がテーマでもあった。
生みの親、子供、そして乳母。
血のつながりよりも大切な共に過ごした時間があるし、それがあったのに、悲しい結末になってしまった親子。
ので、少しだけ、3巻は辛く感じる部分があるかも。
4巻も楽しみに待ってます…。(でもちょっと怖い。。)
そういえば!コミカライズもされているらしい。
読むか迷う…!
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