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voice_watanabe
お題「授業の始まり」ショート
授業と授業の間の休み時間。
10分しかない片時の休み時間だが、そこではあらゆる「ドラマ」が存在する。
この2年2組の教室を見渡してみる。
ある人は古典の授業の予習をしていて、スマホ片手に辞典を繰る人。
昨日のお笑いの動画配信について机越しで語り合うグループ。
我先にとお昼の弁当を頬張って、授業後食堂ダッシュを決意している人。
昨日夜更かししすぎたのか、机にひれ伏して爆睡している人。
窓際ではくだらない冗談を言い合ってはしゃいでいる男子グループ。
静かに本を読み、本の世界へと浸っている人。
一つの教室という箱の中で
昨夜部活が遅く宿題を忘れた人、本気でお笑いの道を目指している人、
寝坊して朝ご飯を食べれなかった人、もはや充電切れの人、
はしゃぎながら好きな子に目線を送っている人、
もしかしたら世界を救う主人公になっているかもしれない人、
それぞれが自分のドラマを持っている。
かくいう私は古典の教科書とノートをわざとらしく整えている。
黒板もぴかぴかに掃除をした。チョークもそろえた。
どきどきしながら古典の先生を待つ。
なぜなら朝からこの授業を楽しみにしていたから。
一週間ぶりの先生の授業に集中できるかわからないが
この気持ちがばれないよう、顔を引き締めながら授業のチャイムを待った。