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生の歓びをカラフルにうたう〜『生きてるってどういうこと?』

◆谷川俊太郎、宮内ヨシオ著『生きてるってどういうこと?』
出版社:光文社
発売時期:2024年4月

谷川俊太郎と宮内ヨシオのコラボレーションによる絵本。谷川のこれまでの詩作品のなかから「生きる」ことについてうたったものを抜粋し、それに透明水彩絵の具を使用した宮内の絵を組み合わせるという構成です。

なんにもないのに
なにもかもある
それこそ私の最大の贈り物
それを私は愛と呼ぶのだ
(足し算と引き算『真っ白でいるよりも』より)

宮内の絵は全頁に動物が描かれていて、生き物たちの生の歓びが画面いっぱいに表現されていて愉しい。谷川の前向きな詩篇と宮内のカラフルな絵はよくフィットしています。

また絵本の末尾に記されたあとがき的なところで谷川は自らの老いによせて次のように語っています。

 年寄りは、若い人と違って、全然発想が変わるんですよ。だから、諦めてもいいとか、絶望してもいいとか、そういうマイナスの価値が自分でもありのままに認められるようになったというところがありますね。
 言ってみればすごく自由になっていて、自分が感じることは全部リアリティがあるんだと思うようになって、あんまり、こういうふうに感じちゃいけないとか、こんなことを思っちゃいけないとか、というふうにはなってなくて、「何でもありだ」という感じになってますね、今や。(p41)

ここに選ばれた詩の抜粋は基本的にもっと若いときに書かれたものに違いないのですが、全編をつらぬく優しくて同時に力強い調子は今も昔も基本的には変わっていないのかもしれません。

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