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哲学することを学ぶ〜『哲学史入門Ⅲ 現象学・分析哲学から現代思想まで』

◆斎藤哲也編『哲学史入門Ⅲ 現象学・分析哲学から現代思想まで』
出版社:NHK出版
発売時期:2024年6月

斎藤哲也が聞き書き形式でまとめたNHK出版新書の哲学史入門シリーズの掉尾を飾る一冊。フッサールの現象学、フレーゲ、ラッセルからクリプキに至る分析哲学、フランクフルト学派やマルクス主義、構造主義からポスト構造主義へと進展するフランスの現代思想までをカバーしています。登場するのは、谷徹、飯田隆、清家竜介、宮崎裕助、國分功一郎。

この時期の哲学・思想については、1980年代以後のニューアカデミズムブームなどで再三取り上げられ、私もそれに乗せられて当人たちが書いたテクスト(の翻訳)をしばしば手に取ってきました。その頃の水先案内人としては浅田彰や柄谷行人らの強者がいました。今さら入門書的な解説を読んで何か新鮮な感銘を受けるということは望むべくもありません。

というわけで、私としては末尾の総まとめ的な國分功一郎のインタビューが最も心に残りました。カントを引用しながら哲学史を学ぶことの意義を語っていて、「一人ひとりが、諸々の哲学の体系を勉強しながら、自分の理性的な才能を磨きあげていく」ことを説いています。そのプロセスを「修行」と呼んでいるのもおもしろい。有名なフレーズ「理性に関して言えば、たかだか哲学することだけが学習されうるにすぎない」には深い深い意味を含んでいることを再認識させられた次第です。

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