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アーモンド・スウィート

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2020年8月の記事一覧

アーモンド・スウィート

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「伴さんが昨日から帰ってこないんです」
「伴さんて?」
 二組担任の椎本から相談された時に、一組担任の天野は伴牧葉(まきば)の顔が思い浮かばなかった。小柄な体躯のムーミンに出てくるミイーのような感じの女子生徒と気づくまでに時間が掛かった。
「どうしたんですか」
「中央線に乗って西の方へ行ったらしいんです」
「多摩のほうですか」
「何でも…名古屋まで、六千二百六十円の乗車券が窓口で売っているそうで、

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 道は続く。北海道まで、鹿児島まで。太陽が昇る場所にも、太陽が沈む場所にも。
 稲垣邦孝は日常という名の鎖を壊し、家族という名の引力によって引っ張られた足も解放して自由になりたかった。勉強が嫌いだった。勉強が好きなどと言うヤツはクソ食らえと思った。優しい言葉で近づいてくるおためごかしのヤツも一目で分かった。学校も嫌いだった。もう自分には学校は必要ないと思っていた。義務教育の九年間で学べる物なんてた

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