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金魚を泳がす
そう言えば、ものづくりを始めようかどうかという時に、浅草橋にある道具屋さんをいくつか紹介してもらいました。
そこから作り始めて一夏中作っていたものがあったと思い出しました。
それまでは、目の前の生活を何とかするだけで精一杯という不器用さで、浅草橋なんて行ったら、何か作りたいという気持ちが押さえきれなくなり、本当に破綻してしまうと思っていたので、コロナをきっかけに材料屋の聖地に行けるなんて本当に幸せだと感謝したものです。
興味があったのに、無いふりをしてきたので、嬉しさはもう本当に・・・(T_T)
私が好きそうなお店だよと言って紹介してもらった店が、とにかく気に入ってしまいました。
そこにあったアクリルビーズが真ん中でなく、端に穴が空いていました。
“鈴丸”という名前が付いていたそのビーズは、鈴に見ようと思えば鈴ですが、私には泡ぶくにしか見えませんでした。
泡といえば金魚。
私の中では、ですが。
その時の私は、吊り下げるブームだったので、金魚と泡を吊り下げることにしました。
たまたま金魚の部品がその店にあったのも巡り合わせというもので、ぶくぶくと金魚の口から泡を吹かせ続けました。
イメージしたものは、“花魁”です。遊女でもいいです。
もう一つ書き加えると、蜷川美花の世界観です。
遊女というのが正しいのかはわかりませんが、彼女達は大抵売られてきたと、映画で知りました。
それが本当の史実なのかは別として。
一見華やかな様でいて、体を売るということはそんなに楽しいことではないでしょう世界に生きなくてはいけません。
大体の花魁系の映画には金魚が出てきます。
金魚鉢の中の金魚は美しいけれど、一歩外に出たら死んでしまう。
花魁も同じ。
華やかな生活の中で、金魚を眺める。
いつか外の世界に出ることを、諦めと共に夢見て。
想像ばかり膨らみます。
たぶん日本人ならわかってもらえる感覚と、そんな世界観が好きな人も多いと勝手に思っています。
ストーリーが出来上がると作る物が動き出します。
何本も作っては、いろいろな場所にもらわれて行き、今も泳いでくれています。
物を売るのも楽しいと思い始めた頃のお話でした。