見出し画像

東京生まれ東京育ち

私は、東京生まれで東京育ちです。

高校生までは周りにはだいたいそんな人ばかりでした。
東京以外で生まれたとしてもおおよそ人生の大半を東京で育ってきた同級生ばかり。
これが、大学へ進学すると状況が変わりました。
大学進学に伴って上京する人、というのが自分が思っていた以上に沢山いました。
それから大人になって、肌感覚としては東京生まれ東京育ちという人に新たに出逢うことの方が少ないです。
尚且つ、私は小学・中学時代の同級生と縁が切れているので余計にそのように感じます。

羨まれることも多いのですが、私が絶対に手に入れられないものもあります。
思春期に東京に憧れる気持ちやそれを叶えて上京する晴々とした気持ちというのは私は絶対に感じることが出来ないものです。
勿論、だからといってそれで不都合なことは何もないのですが……。

ただ、その感情を持てないことに対して血を吐きそうになるくらい辛かった時期があります。
2011年ころ、私は豊島ミホ先生の著作を貪るように次々読んでいました。
豊島ミホ先生は私よりひとつ年上で、秋田県出身。
早稲田大学への進学で上京したそうです。
現在は小説を書いていないとのこと。

豊島先生の作品では高校卒業までを過ごした経験や、そこから上京して見た風景が描かれることが多いです。
豊島先生の紡ぐ言葉で描かれる自然の風景やそこに存在する感情が余りにも瑞々しく眩しくて、私が東京の街中で目にしてきた風景とは余りにもかけ離れていて、私自身も当時は様々な感情を抱いていた筈なのに余りにもちっぽけで空虚に感じられて、それが余りにも悲しくて悲しくて胃が痛くなり血を吐いてしまいそうなほどに悲しかった。

でも、「神田川デイズ」を読んでかなり気が楽になったんですよね。

ここで描かれる風景が、場所は違ってもちゃんと私の中にもあるんだと実感できました。
それは駅から大学へ向かうあの国道だったり、正門を入ってから校舎までひたすら長くて特に夏は気の遠くなる道のりだったり。
眩しかったり瑞々しかったりするかはちょっと良く分からないけれど、それでも鮮やかに私の中に存在するんだと自信を持てました。
それは、当時の私にとっては救いのようにすら思えました。

この、言いようのない東京生まれ東京育ちコンプレックスについては更に、山内マリコ先生の著作に対する感想にもつながるのですが、それはまた今度。



noteはログインなしで「スキ」を押すことが可能です。
(いいね、にあたるもの)
ハートマークを押して「スキ」していただけたら幸いです。

マシュマロもやってますー。
匿名で感想やネタリクエストなど送りたい場合や、その他お気軽にどうぞ。
基本はtwitterでお返事しますが、内容によってはnoteで記事書きます。




おまけ


ここから先は

465字

¥ 300

この記事が参加している募集

よろしければサポートお願いします。 いただいたサポート費は文具や手帖、その他のグッズなどの購入に充て、またそれらについてのレビュー記事を書いていきます!