「ありがとう上島竜兵」とか言ってるとまた誰かを失うよと思った話
まず上島竜兵さんにつきまして、心よりご冥福をお祈りします。
上島竜兵が自殺したと知ったとき、
あんなに周りに人がいる上島竜兵でも
相談して希死念慮を乗り越えることは難しいんだ
と結構絶望した。
竜兵会というものをご存知だろうか。
私は、有吉弘行氏がアメトーークで話していたのを見ており、なんとなく知っている。上島竜兵に助けられた後輩芸人たちが、竜兵会と題した忘年会を開いているというそうだ。そこに集まるメンバーをも言うのだろう。
だから上島竜兵が死んだとき、真っ先に
竜兵会なにしてたん?と思ってしまった。
竜兵会の方々からしても、寝耳に水で、どうすることもできなかっただろうが。
竜兵会だけではない。
そもそも上島竜兵は、ダチョウ倶楽部というトリオで活動していた。相方がふたりいた。
マネージャーもいただろう。
普通に家庭もあったようだ。
希死念慮のある人の中ではまわりに人は多い部類ではあったと思う。
どうして相談して自殺をやめられなかったのだろうと私は疑問を抱いていた。
しかしその疑問はすぐに解消された。
上島竜兵の話を真剣にきいてくれる人は、もういなかったのだろうなと、メディアをみていて分かったからだ。
上島竜兵の死後、ダチョウ倶楽部のふたりの言葉を皮切りに、メディア全体が「ありがとう上島竜兵」「上島竜兵を忘れない」といって、過去や収録済みの映像を放送した。
あとは、上島竜兵が真面目な性格である、落ち込みやすいという性格であることが多少取り上げられ、「コロナで芸ができなかったからでは」みたいトンチンカンな予測がされた。
自殺をしても上島竜兵は心配してもらえないんだと本当に見ていて辛かった。
自分の悩みを相談したところで、見なかったことにされたことがあったか、誤魔化されると分かっていたのだろうなと痛いほど感じた。
ありがとう上島竜兵
の前に言うことがあるだろ。
あなたの悩みに気づいたり、真剣に向き合えなくてごめんなさいって、言うべきだろう。
自殺した人間からも何かをまだ得ようとしてるのかよって気持ち悪くなった。
この話にでてきたダチョウ倶楽部や竜兵会、家族の人はメディアに出る関係上、一旦その態度をとるのは仕方がないと思う。
でも上島竜兵が出ていた番組やワイドショーは、相談を受ける人間の言葉選びとか、高齢者の自殺の原因や予防についてもっと議論すべきだったんじゃないか?
社会全体が上島竜兵ありがとう!って空気になってて、それを当たり前と思って「竹内結子のときはこんなに明るく報道されなかった」って憤ってる奴とかも出てきちゃって本当に良くない流れを感じた。
生きてる人、みな忙しい。
自分の悩みもあるし、自殺したいとか言われても困るのも分かる。
でもプラスの面ばかり、自分のメリットばかり追ってたら、そりゃ人はいなくなるよ。
そのリスクを負った「ありがとう上島竜兵」という言葉である自覚を忘れないでほしい。
私は希死念慮を相談できなかった過去があるので、上島竜兵さんの死をこんな気持ちで受け止めました。
改めてご冥福をお祈り致します。