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自然栽培の畑より Vol.9 「シンクイムシの被害と原因」

10月も終わろうというのに、日中はまだまだ汗ばむ日も多い。
日陰に入れば少しヒンヤリとした風が気持ちよく感じます。
季節は秋なのでしょうが、畑の上にいると春のような感覚にも襲われます。

9月中旬に蒔いた小松菜の種。10月に入って本葉をだすと、大きく育つにつれて、虫の被害が拡大しました。
その虫は、『シンクイムシ』と呼ばれ、野菜の芯を狙って食べてしまう厄介者。これによって生長点を奪われた小松菜は軒並みやられてしまいました。
辛うじて育ったとしても初期に食べられた跡がそのまま大きくなり無残な姿が畑に広がっています。
小松菜の9割は畑の上で廃棄しています。虫食いの被害が少ない株を探して収穫しますが、それでも中に虫はいないか確認し、いたら水で洗って除去をするなど、効率も悪く、手間も多くかかります。

シンクイムシの被害

シンクイムシによる被害の原因

原因は思いつくもので3つ考えられます。

  • 畑に不浄なものが残っている(肥毒など)

  • 耕うんした際の草の未分解

  • 気温の上昇 

今回の被害の要因として、気温の上昇による虫の発生が多かったことにあります。高温による農作物の被害は自然栽培に限らず、通常の農法でも今年は特に多いようです。畑以外でもカメムシの大量発生など市街地でも問題になっています。
本来なら、野菜を作れる気候ではありませんでしたが、それでも種を蒔かないことには農家は生活ができません。また、多少無理してでも種を蒔いた結果それで失敗しても、種を蒔かずに失敗するよりは、出来た野菜を少しでも必要な人に届けられるほうがよっぽどいいように思います。

また、それ以外の原因として小松菜の種まきをした畝の列は、草を漉き込んだ際、未分解だったこともあげられます。
土の中で草を分解をしている最中は微生物も多くなり、土のバランスも悪くなっています。今回は種まきを急いだあまりに、分解が終わらない状態の土で種を蒔いてしまったためにここまでの被害がでたように思います。

一方で草の分解が進んだ、隣の列では高菜が綺麗に伸びてきていました。
同じ畑でも、土の状態が違えば生育に差が見られます。

ミニ高菜、ベビーリーフとして生でも食べられます。


緑肥と小麦を3年続けた畑で初めての作付け

この畑は、3年土づくりをして初めての作付けとなります。
にんじん・じゃがいもの他、10月上旬に葉物類の種まきをしました。

綺麗に生え揃っています


かぶ
チンゲン菜
小松菜

心なしか、野菜も生き生きしているように見えます。畑の準備がしっかりとできたのと、適期での種まきであったことも大きな理由かもしれません。
順調にいけば、11月中旬頃には収穫ができると思います。

じゃがいもは土寄せのタイミング

気温も高いのでぐんぐん生長しています

じゃがいもは、あっという間に大きくなりました。じゃがいもの株元にしっかりと土寄せをすることで、これからさらに大きく生長します。
今年は購入した種イモということもあり、植えた面積も収穫量も多くはありません。出荷の予定はなく、すべて種イモにする予定です。来年以降の作付けでたくさん植えられるように大事に育てていきます。

雨が少ない今年の10月

とにかく今年は雨が降りません。ここ熊本では10月9日以降まとまった雨が降って以来、カラカラの日照り状態が続いています。10月27日時点でようやく3時間ほど雨が降ってくれましたが、それでももっと雨が降って欲しいくらいです。台風は困りますが、適度な雨は種まきにも影響します。

「自然規範・自然尊重・自然順応」
自然栽培の3大原則ですが、自然に順応することほど大変なことはないかもしれませんね。

文 真心農園 坂田


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