マインドコントロールなんて特別なことではない
こんにちは。ルーズ・リーです。
みなさん、波乱の3連休が明けましたね。
コンテンツの消費に明け暮れた方も多いのではないでしょうか?
私は「愛なき森で叫べ」を観ました。
10月11日(金)よりネットフリックスで配信が開始された今作。監督は園子温、主演は椎名桔平という配信限定なのが勿体無いくらいのれっきとした映画作品です。
感想は、
北九州監禁殺人事件から着想を得たという作品だけあって非常に惨忍なシーンが多かったです...。
嘘です。
これは園子温作品を見たことがない人が言いそうな感想。
園子温作品を見たことがある人であれば、
あれ、今回の園子温ヌルくねえか?
と思うはずです。
ネット配信の映画なのになんだか生々しさがなく、グロテスクなシーンもこれまでに比較すると少ない。
これに関して私なりに考えてみました。
世界進出を目指していることや作品のB級感を無くす効果など色々考えられます。
しかし、1番はこの作品自体に現実味を帯びさせるための効果を狙っているのではないでしょうか。
え、序盤とかめっちゃ演劇を観ている気持ちにさせられたけど?俳優たちもかなりセリフが棒読みだったし...。
そう!それこそ今作の肝。
冒頭と最後こそ作り話然としていましたが、村田(椎名桔平)が巧みな洗脳を繰り返していく様や洗脳をされる様子はかなりリアル。
あえてグロテスクなシーンをラフに描くことで登場人物たちの情緒に共感を持たせ、観る者の没入感を高める。そうすることで、視聴者はアレコレ考えるんですね〜。
要するに、この作品は殺人映画ではなく洗脳映画であると思うんです。
この作品で注目すべき点は殺人という事象ではなく、洗脳という過程。
洗脳なんて大なり小なりみんなされたことがあるでしょう、だって今あなたこの映画を観ているうちに洗脳されていますよ。
そんなメッセージを私は今作から受け取りました。
洗脳なんてされたことねえよ!
こう思うあなたは本当にそう言いきれますか?
スマホを開けば世の中はフェイクニュースだらけなのに信頼できる人がリツイートしていたら信じてしまったり、好きなアーティストがオススメしている曲は盲目的に好きになってしまったり...。
挙げればキリがない程、この世の中は洗脳で溢れていると思う訳です。
「愛なき森で叫べ」という作品自体も視聴者を洗脳していますし。
よく考えてみてください。最後はシンを応援していませんでしたか?
ほら、洗脳されてんじゃん。
"殺人はダメなこと"という倫理観を飛び越えて殺人鬼であるシンを応援する。
あ、それは違うよ。だって村田という人間は散々悪いことしてきたし。
じゃあ、悪いことをしてきた人間は殺してもいいのか?
違うよね。でも、おそらく映画を観た直後だとこんな当たり前なことが分からなくなってしまうのではないでしょうか?だって洗脳されてるから。
とまあ、私はこの映画を観て園子温ってやっぱすげえわ、となりましたとさ。
久々に「冷たい熱帯魚」でも見ようかな!
追記ですが、「ROMA」がアカデミー賞にノミネートされた時に巻き起こった議論 "劇場公開されていなければ映画ではない"というテーマについて少し。
比較的柔軟な考えを持つスピルバーグ監督が以前上記のような発言をして話題になったけど、やはり「愛なき森」を観て思うことはフォーマットに関わらず映画は映画でしょ、ということです。
ただ、映画館で体感することも非常に貴重な体験であるからみんな映画館へも足を運びましょうね、という話なんじゃないのかな...。
映画は人生の濃度を何倍にも濃くしてくれる体験だから、どーせ配信されるでしょ、と家の中にこもって体験ではなく消費する映画鑑賞の仕方をしている人がいたら勿体無いよ。
誤解されて欲しくないのは「映画館へ行け」ということではなく、「家で観るにしてもいつも体験を大切に」ということ。
今作を観てやはり映画は体験だな、と思ったのでこの議論について私の意見を書いてみました。
みなさんはどう思うんだろうー?
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