実は、気持ちを感じ取れない方もいます。
こんにちは。創造的な人生のために、心に関することを伝えたく、カウンセリングルームK 〜心との対話アトリエ〜では便りを出しています。
先日、「自分の気持ちを感じ、受け止めることについて」の記事を書きました。
が、実は自分の気持ちを感じ取れない方もいることも事実です。失感情症(アレキシサイミア)であるという方もいます。これは、自分の気持ちや情動が感じ取りにくく、それらを言葉にしづらいという性格特性です。1973年代にアメリカの精神科医シフネオスが提唱しました。彼は心身症(ストレスなどにより身体の機能に障害をもたらす症状)の患者さんを診ていて、彼らにある特有の性格特徴があると見出したのです。それは自分の気持ちや感情に気づかないばかりか、そのために内省ができにくく、であるから空想力、想像力も乏しいというものでした。また、内省ができにくいことから、外の事実に敏感に反応しやすい性格傾向だとも言えます。
つまり、不快な気持ちをも感じ取る力がないために、それが言葉にならず、出すことができないために、体自身が心身症という形で、ストレス具合を表現しているということです。心身症の例として、偏頭痛、アトピー性皮膚炎、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、気管支喘息などが挙げられます。ですので、逆にいかに気持ちを感じ取る力、それを表現する力が健康のために必要かということもわかります。
〜症とついているからといって、失感情症(アレキシサイミア)であるということで、心療内科やカウンセリング室を訪れる人はあまりいないと思われます。ですが、心身症を伴ったために前景にそのような性格特徴があるかもしれないと理解される場合があるでしょう。
西園昌久によれば、一般に乳児と母親や養育者との間に、双方の情緒的応答性がその発達には大事であるとした上に、失感情症(アレキシサイミア)という性格特徴が起こる起因として「乳幼児期の、母親もしくは養育者との間での情緒性応答の障害に根ざしているとみることができる」と考察しています。
実際の心身症へのカウンセリングでは、まずその症状があるということを念頭におき、治療していくということを目標にします。しかし、実際にはなんでもその場で思うこと、思いつくことを話してもらうことで、自分を客観的に捉えられる場作りをしています。また話せる環境を作り、カウンセラーと情緒的的応答もしていく中で、最終的には母子一体感を再体験するようなことにもなり、乳幼児期に自身がその環境により意図しなくても傷ついてしまったことがらを癒す、自己治癒力を活性化させていくことにもなります。
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