【新米職人の奏 #02】「難聴の職人」ってかっこ良くないですか?
こんにちは。小野寺です。
このnoteは片耳が聞こえない15才、
中学三年生の君へ贈るメッセージです。
新米職人の奏さんの続きをどうぞ!(前回はこちら)
■ショックだった出来事はある?
――― 学生時代はどんなバイトをされていましたか。
お弁当屋、焼肉屋、居酒屋などで
接客や調理のバイトをしました。
やっぱり学校生活とは違って、
仕事となるといろんな方と接するので、
片耳が聴こえない不便さを感じる機会が
グンと増えたように思います。
一番ショックだった出来事は、
私がお客様の言葉を聞き逃したとき
それが店長にも伝わったみたいで、
その時に店長から
「奏さん、補聴器つけてみたら?」
って言われたことです。
このときはかなり傷ついて、
トイレでこっそり泣いてました(笑)
――― 補聴器を勧められるのはつらかったんですね。
店長に言われる前から補聴器のことは
何度も考えていたんですけど、
やっぱりお金がかかるから
家族に申し訳ないし、
たとえ片耳でもなんとか聴こえるから
私なんかが付けても良いのかなとか、
補聴器を付けたからって完璧に
聴こえるわけじゃないのにとか、
もし聴こえても聴覚過敏があるから
聴こえたら聴こえたで苦痛が増すしとか、
そうやって自分の中で悩み続けていて、
簡単に決められる話じゃなかったんです。
たぶん店長は悪気もなく言ったと思うし、
言いたくなる気持ちもわかるから、
余計になにも言えなかったですね。
あるときやっとの思いで祖母に
「ごめん、補聴器高いけど…良い?」
って相談して、買ってもらいました。
実際に聴こえる方の耳に補聴器を
付けてみて良かったのは、
もちろん片耳が聴こえやすく
なったのもあるのですが、
なにより聴こえる方の耳で
常に爆音で鳴っている耳鳴りが
すごく軽減されるんですね。
それだけで世界がガラッと変わったので、
祖母にはとても感謝しています。
■職人の仕事はどう?
――― いまはどんなお仕事をされているのですか。
大型店舗など大きめの建築現場に入る
塗装屋さんとして働き始めました。
私は小さいころからものづくりが好きで、
高校は定時制の工業高校に行ったんです。
自分で考えてつくるのが好きだから、
この難聴に関してもなにかつくれないかな
と思って、グッズを作ったりもしました。
↓奏さんがつくった難聴グッズ
これを身につけることで
誤解を生みにくくなったので、
特にバイト中に困ることが
減ったのをよく覚えています。
学生の頃は、こういうグッズを
Twitter経由でご依頼いただいて、
オーダーメイドでおつくり
することもありましたので、
もしご希望があればご連絡ください。
話を仕事のことに戻すと、
いまの職場は高校三年のとき
インターンシップで行ったところで、
その時に職人歴30-40年の方が
「自分も耳鳴りや聴覚過敏だった」
って教えてくれたんですね。
それですごく話が合ったし、塗装の仕事も
やってみたらすごく楽しくて。
そのまま他の会社も見ずに、
就職を決めちゃいました(笑)
――― 実際に働いてみていかがですか。
すごく楽しいです!
現場はうるさいことが多いので、
補聴器の音量を調節しながら
作業すればあまり問題ないですし、
職場の方々もすごく良い人ばかりで
聞き返しても嫌な顔せずに教えてくれます。
もしいまよりも聴力が落ちて、
両耳共に聴こえなくなったとしても、
いつか一人前になったとき
「難聴の職人」って言えるの
かっこ良くないですか?
無音の世界で黙々と作業して、
「自分はこれをつくった」って言えるのは
すごいと思うんですよね。
だからもし両耳が聴こえなくなっても、
「そのときはそのときだ」というのが
いまの私の考え方です。
(続きは明日公開!お楽しみに!)
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