ごみ
別の隊員の配属先であるティカにあるキアンブカウンティのゴミの最終処分場のお話。
ティカのタウンから10kmほど離れたところにそれはあります。
周りのお家は作りがだんだん貧相になっていき、遠くには電線がたくさん見えるところ。
ゴミ山からの排水も多く含まれているだろう天然の排水溝では子供たちが泳いでいました。
ここは、キアンブカウンティの12のサブカウンティから全てのゴミが集まってくるオープンダンプサイトです。
ケニアではカウンティ単位でゴミ処理の責任を負っています。キアンブでは、一般ゴミは民間業者が、産業廃棄物はカウンティが収集します。収集のために、企業は産業廃棄物を収集してもらうための収集料をカウンティに支払います。一般家庭も収集料を支払います。一般家庭は例えばアパートだったら大家さんが家賃に上乗せして徴収し、まとめて支払います。この辺は100〜200KSh/月だそうです。
そうして集められたゴミがここにおよそ900〜1200t/日運び込まれます。ここで登場するのがウェイストピッカーです。彼らはゴミの中からプラスチック、ガラス、金属などのリサイクル価値があるものを拾い、業者に売ることで生計を立てています。この過程でおよそ70%のゴミが持ち去られます。ケニアではうまくゴミ発生源での分別ができておらず、行政でオフィシャルに分別を行えていないので、この過程が重要な分別過程になります。ここには200〜300人ほどのウェイストピッカーたちがやってきます。この人たちがいないと、ゴミはすぐにいっぱいになっちゃうし、外でより犯罪めいたことをされてもよろしくないので政府公認ではないものの、黙認(?)といった形で協働してるそうです。
犬や牛もいれば、日本みたいにカラスも寄ってきます。
問題は、彼らが我先に価値の高いものを拾おうとゴミを運んできたトラックに群がることです。それにより、トラックが下ろすゴミに埋もれるという事故も発生しています。
ここの管理者の方は今年の10月にJICAの研修を日本で受けてきた方で、今年は雨季でもいつも以上に管理された処理ができているとお話しされていました。ゴミが運びこまれ、ウェイストピッカーが有価物を持ち去ったら残りのゴミをブルドーザーで圧縮し、上から6インチほどマラム土で覆土するというのを繰り返す…のが目標ですが、ゴミが運び込まれるペースに覆土が追いついていないのが現状です。覆土用のマラムはたくさんあるようでした。
印象に残ったのはたくさんのペットボトル。でもこれらは業者によりリサイクルされます。リサイクルすれば良いというものでもないですが、ウェイストピッカーがいる限り、これらはゴミの体積には大きくは影響しないのかもしれないです。それよりも気になったのは大量の生ゴミ。焼却しないので、かなりの量です。まだ食べられるものはそのままウェイストピッカーの人たちが食べていたりもしますが、これがなくなると大きく違うかなと思います。農業従事者が多い田舎の方からもゴミが集まり、生ゴミが多いのは管理者の方もわかっているようでしたが、それに対する対策をどう考えているかは残念ながら聞き取れず🤦🏻♀️
コンポストにするなり乾燥させるなりで変わる可能性は秘めているなと思いました。
次に行ったのはそのもう少し奥にある場所。衛生的埋立地です。なんとここ、アフリカ初の福岡方式の準好気性最終処分場。UN Habitatの支援により、スウェーデンが出資して2015年に完成しました。
が!ご覧の通り使われていません。管理者曰く、狭くて(1haのモデル地)すぐいっぱいになってしまうので、ゴミ分別ができるようになったら使いたいそうです。そのためには中間処分処分場を作って、地元の人たちを雇って、分別して………
そんなことを言っている間に月日は過ぎ、調整池に空気を送り込む水車も、支援記念碑も盗まれ(?)、将来的に拡張できるように広い土地に作られたモデルサイトの周りには雨で今の処分場に入れない時に不法に投棄されたゴミの山が…
コンポストサイトもあったそうですが今はもうどこへやら。
ちなみに福岡方式というのは、この葉脈のように広がるパイプが特徴で、地面に並ぶ石の下にはパイプが通っており、そこを滲出液や雨水などが通って抜けていきます。また、縦に通るパイプからは空気が出入りします。それによって、ゴミは好気発酵し、より早く分解され、臭いも少なく済みます。メタンガスなどもパイプから抜けていくので、自然発火のリスクが減るほか、発酵によって温度が上がると熱循環により排水パイプから調整池側から空気が取り込まれ、より好気環境になるという仕組みです。
ちなみにここは、ノリ面の中にもゴミが入っていて、ノリ面は補強のために植物が植えられ、調整池に出た水はパイプを通って奥に見える下水処理場(数十年前にイギリス出資でできた?)へ行って処理されます。
モデルなんだから早く使ってみてくれなきゃどうしようもないのに…ですね。
任地のカウンティのゴミ処分場にも行ってみたいな。