【変な隣人④】ドン・キホーテに戻りたいバングラディッシュ人
こんにちは。ろんです。
今回も私の周りにいる変な友人について、紹介したいと思います。
彼と出会ったのは英語学習者と英会話講師をマッチングする掲示板でした。
値段設定が破格の安さだったのと、写真の人相が悪く、恐らく人気がないだろうと思い、レッスンを受けてみることにしました。
「コンニチワ」
カフェで待ち合わせしていると、背は160cmほど、髪の毛は薄く、体重は100kgを超えていそうなずんぐりむっくりした男性が片言の日本語で話しかけてきました。
簡単に自己紹介しながら、英語のレッスンが始まりました。
彼は日本に来て4年目、普段はシステムエンジニアとして働いている35歳の男性です。休みの日は日本語の勉強とジムに行く以外、特段やることがないため、英語講師をしているとのこと。バングラディッシュってそもそも英語圏だったっけ?と疑問に思いながら、彼の話を聞きました。
後ほど聞いてみると、英語は公用語ではないものの大学の授業は英語で行われているため、英語で話すことに不自由はないそうです。しかし、英語のテキストを見せると早速スマホで単語の意味を調べ始めて、大丈夫かなと不安に思いました。
テキストにあったトークテーマ、少子化について議論しました。
彼はイスラム教を信仰しています。イスラム教の教えでは、女性は専業主婦として、家事・育児に専念することが求められます。彼の主張は、女性の社会進出が進んでいる西側諸国は(移民を除けば)総じて少子化に悩まされているため、イスラム教の教えに従うべきというのです。現にバングラディッシュは国民の85%以上がイスラム教を信仰しており、1億7,000万人で世界8位の人口大国、その数字は今も右肩上がりで伸び続けています。女性の社会進出は晩婚化を招くだけでなく、未婚や離婚率上昇の要因にもなっていると言います。
この多様性の時代に、ここまで極論を主張する稀有な存在だなと思いました。彼の主張は一国における少子化対策の全体最適としては一理あるものの、私たちは人口維持のために生活しているわけではないし、個人最適として選択の自由がないのはやっぱり悪だと思いました。
続いて、日本人にはスピリチュアルが欠けていると言います。彼曰く、私たちが健康に暮らすためには、メンタル、フィジカル、スピリチュアルの3つが大切だそうです。日本には運動習慣やメンタルヘルスの重要性が浸透していますが、スピリチュアルとは一体なんでしょうか。日本人は、特定の宗教を信仰していない方が多いですし、年明け初詣に行くことはスピリチュアルな行為でしょうか。彼の説明から日本に当てはめて考えると、スピリチュアルとは、信仰心=見えないものを信じる力だと思いました。
確かに科学的根拠をベースにした確率論では、日本という国や私たちの生活は不安なことばかりです。それでも見えない夢や希望を信じることは今の日本で必要なことだと、やけに腑に落ちました。
他には、中国を凌ぐ経済大国になろうとしている近隣のインドについて聞いてみましたが、これは御法度の質問だったようです。そもそもインド人の多くはヒンドゥー教を信仰しており、宗教の違いがあるだけでなく、地理的距離ゆえの歴史的背景からバングラディッシュ人とインド人では相容れないようです。インド映画は好きみたいですが。
どこの国も周辺国とは歴史的な関係が深いあまり、上手くいかないものだと思いました。日本に限らず、ヨーロッパではフランスとドイツもそうでしょうか。
ずっと気になっていた日本に来た理由について聞いてみました。さぞ日本のアニメや漫画、日本食が好きなんだろうと思っていました。しかし、オーストラリアのビザの抽選に落ちたから、日本に来ただけだそうです。
理由なく日本に来て生活は楽しめているか、将来的に日本に残りたいか聞くと、
「永住権が取れたら、ドン・キホーテに戻りたい。ヨドバシカメラでもいい」。
3年前に語学学校に通っていた頃は、好きなバイトを選べたので、ドン・キホーテでアルバイトをしていましたが、現在は就労ビザの条件で最低5年システムエンジニアとして働く必要があります。職場は男ばかりで、不満だと言います。ドン・キホーテの頃は、日本人の彼女もいて楽しかったと。バイト終わりにたまに飲みに行く相手が彼女だったのかどうか真偽は不明ですが、そもそもイスラム教はアルコール禁止ではと尋ねると、
「日本に来たので、日本のルールで生活しています」。
なんだか都合がいいなぁと思いました。
職場ではなく、マッチングアプリで彼女を探せばいいのではと聞くと、マッチングアプリではいつもお金を送るように頼まれると言って画面を見せてくれました。いわゆる詐欺業者が、金目当てのメッセージを送ってくるようです。彼の容姿やスペックでは、まともな相手とマッチングできないことを薄々気づいているようでした。
言語も宗教も違う、職業選択の自由もない、異性にモテない、消去法で選んだ国に留まることが、彼の個人最適なのでしょうか。
バングラディッシュでは、父親が不動産をいくつか所有しており、兄妹ともに大学も出ていて、金銭的に不自由はなさそうです。
「父親の下で働くこともできますが、それだと自由ではないので」。
個性的な彼との話は新鮮で面白く、結局半年間くらい英会話のレッスンをしました。
将来、日本人のお嫁さんができたらイスラム教に改宗したいそうです。白人の男性が日本人女性と結婚し夫婦でキリスト教を信仰するように、自分も不可能ではないと言い張ります。
彼はドン・キホーテに戻り、ジャパニーズドリームを叶えることはできるのでしょうか。
世の中には自分の価値観では想像できない人がたくさんいます。
自分の人生、他人と比べることなく後悔ないように生きたいです。
以上、私の周りにいる変な友人について紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ろん
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