ろにこ

思い立ったので闘病記を執筆中(・∀・)

ろにこ

思い立ったので闘病記を執筆中(・∀・)

最近の記事

新婚1年38歳、癌になる! #008

 さて、胃カメラも終わり癌もしっかりと発見された。病理組織検査の結果はまだであるが、一回目の胃カメラの時には癌と診断されているので後は手術を待つだけである。とは、なってくれない。  次は大腸カメラが待っていた。癌の怖さは転移にある。同じ消化器として繋がっている大腸は、転移する可能性が高いため検査するのだろう。  私は慢性的な便秘で一月ほど通じがないことはざらである。私が癌になるなら大腸であると周りの人間に言われてきていたので、ついでに調べてもらえるのはちょうどよい機会であ

    • 新婚1年38歳、癌になる! #007

       二重チェックはヒューマンエラーを減らすための重要な手法となっている。これはどうやら医療の現場でも当然のようで、当たり前のようにそれは行われた。  2度目の胃カメラである。  前回の胃カメラから2週間しか経っておらず、病巣の位置もしっかり写真におさまっている。それにも関わらずもう一度、胃カメラを行うのである。  勿論これは、患者を苦しめようという医者のサディズムから生まれた医療行為ではない。万に一つも起こさないという医療従事者の矜持である。  後で怒られないようにしっ

      • 新婚1年38歳、癌になる! #006

         総合病院というのは、受付にいくにしろ各病棟にいくにしろ、いたるところで診察券を要求される。まるでアトラクションに並ぶたびにパスポートを提示させられる遊園地のようだが、これも安全な医療行為を行うためには仕方がないのだろう。唯一遊園地より優れている点を挙げるとすればトイレに並ぶ必要のないことである。  総合受付で紹介状を渡し書類に一通り記入が終わると内科の受付に行くように案内された。そして内科の受付を済ますと今度は内科2の前で待つように指示される。  このパターンは知ってい

        • 新婚1年38歳、癌になる! #005

           ふわふわとした新雪のような軽い話ばかりでは、こいつは何を病で遊んでいるのだとお叱りを受けるので、今回は国道沿いのトラックに泥水を浴びせられたあの黒く重たい雪のような話をしようと思う。  好感度は大事である。  癌の告知をされて一番取り乱したのは妻であった。詳しい検査はこれからだというのに数日間、慟哭しつづけた。  挙句の果てには、私の存在しない世界でどうやって生きていけばいいのかという始末。胃がなくなるまでにどんな美味しいものを食べようか、胃がなくなるまでに食べたい1

        新婚1年38歳、癌になる! #008

          新婚1年38歳、癌になる! #004

           会社務めをしていなくとも病院へおもむけばいつでも人間ドックは受けることができる。しかし人間というのは強制力が働かないとまあまあ動かないものである。  それはお前のような愚かな人間だけだと言いたいかもしれないが、そこは健康意識の高い己の優秀さを誇るべきであって私を貶めるべきではない。なぜならば私は非常に打たれ弱いからだ。是非優しくしてもらいたい。  胃カメラも終わり結果はお盆に重なるので明けたら来てくれと告げられる。胃酸を抑える薬だけもらい、ナスとキュウリが盆棚から消える

          新婚1年38歳、癌になる! #004

          新婚1年38歳、癌になる! #003

           脱サラをしてから10余年。思えば、人間ドックというものをしたことのない人生だった。  順当にサラリーマンを続けていれば、どうやら30歳と40歳になる年に人間ドックができていたらしい。仕事戦士として活躍する世界線の私は、遅くとも40歳の時には癌を発見できているはずである。無事であってくれることだろう。  問題は生まれついての怠け者で、人生を遊びつくすことに御執心になっているこの世界線の私だった。  話は戻って胃カメラ当日。用意周到な私である。事前調査に一寸の抜かりもない

          新婚1年38歳、癌になる! #003

          新婚1年38歳、癌になる! #002

           癌と診断されるには何かしらの検査が必要である。急に癌になったと理解するものではない。今回から癌が見つかるまでの話を記していこう。振り返ってみると、私の人生が10回あったなら9回は見逃していたのではないだろうか。  時はさかのぼること7月上旬。  今思えば未来を暗示する梅雨明け前の嫌な天気だった。空を見上げると、幼い子供がパレットでいたずらに絵具を混ぜ合わせたようなくすんだ色が不気味に思えた。  念のため筆を止め過去の天気を確認してみたが、どうやらその日は快晴のようだ。

          新婚1年38歳、癌になる! #002

          新婚1年38歳、癌になる! #001

           タイトルの通りであるが、さらに属性を加えるのであれば「新婚1年38歳新築完成1カ月前、癌になる!」ということになる。  とは言うものの悲観や絶望に打ちひしがれているわけではない。ただの胃癌である。ステージや転移を無視してしまえば、切って治る病なのだ。しかし、ただただ悔しいのである。  何がかというと胃を切除してしまうと数年から一生、現在の量ほどの食事は摂れないというではないか。また、世界最高峰の高額医療費制度というものがあるといっても毎月10万円程度の支払いは発生してし

          ¥100

          新婚1年38歳、癌になる! #001

          ¥100