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朝ドラ「虎に翼」から学ぶこと
10月末の朝日地球会議のプログラムである。
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吉田恵里香と重田園江の注目の二人の対談であり、楽しみである。
「虎に翼」の週・月に取り上げられるテーマは、現在、まさに私たちを取り巻く問題であり、家族みんなで考えることにならざるを得なかった。「家族会議」というスタイルまではいかなくても、日々の団欒の中で意見が交わされた。
以下に、どんなテーマが取り上げられたのか整理してみたい。
人間は他者と共に生きている。自分の承認だけではなく、他者を承認していくことが社会で生きていくことである。
人間は、「愛」や「依存」よりも先に「対立」を情熱的関係として持つ。他者の存在は、平等と対立の問題を生じる、「対立」を防ぎ、自己を制御するために契約や法を作る。しかし、社会は常に変わる。法律は一旦作ると一人歩きしてしまう。
井上ひさしの「吉里吉里人」「ひょっこりひょうたん島」は、独立した社会での人間の日常と外の社会との葛藤をも描く。ルールを作るが、個人を守りもするが、不平等に制約することもある。
人間の歴史=男性の歴史ということへの無自覚性について
女性の社会的不平等という視点でのみで、フェミニズムを考えてきたことへの無自覚性の指摘がある。
狩猟時代も、男は狩をして、女は料理する。主に生物学的、身体的理由からと考える。生殖機能から女は育児をすると考える。身体的にはそうした区分がされない賃金労働の現代の仕事になっても、男性は外で働き、女性は家庭を守る。子供がいれば、子育て、料理などの家庭のケアを行いつつ働くという区分に人間の男女の存在と生き方の根源的な問題を意識しない。
岡野八代の「ケアの倫理」で指摘されていることである。政治、社会、経済、教育、哲学全てが、人類の歴史=男の歴史として行われてきた。こうした人間の活動に、女性が無償で提供してきたあらゆるケアの労働を考えることを排除してきた。その存在を当たり前のものとして、素晴らしいものとして考えることで、神からの贈り物として受け止めることで、実は無視してきたのが人類の歴史である。
ドラマでは、穂高重親教授が、その典型として描かれる。猪爪花江は、主婦の宿命を受け入れつつもどこかに疑問も持つ。さらには、桂場等一郎、星航一もいる。
人生とは問いをたてることである。
「スンッ」「む」「はて?」「おやおやおや」
寅子の口癖である。たとえ相手が最高裁長官であろうと、疑問は疑問である。このドラマは問いを立てることで、テーマが次々と生まれる。その答えを考えるために出演者たちが葛藤するのである。
「愛」で人を救えるのか?
ドラマでは少年法の厳罰化が議論されるが、厳罰化では解決できない問題がある。少年たちを支えるのは「愛」の心が原点であると、多岐川幸四郎は訴える。
しかし、現代の社会では、戦争で両親を亡くした子どもとは違った深刻さも抱えている。簡単には理解できない子どもの事件が見られるようになった。でも、分からないなら、分からないなりに、そんな子たちにも寄り添わなければならない。寅子も、大学中退してアルバイトする優未の気持ちを最後に理解する。
これを指摘したのが、暉峻淑子の「承認をひらく」である。大人の社会にすんなり順応できない感受性の強い子どもたちが、大人たちへの根本的な疑問を表出する。対話を求めているのに、きちんと応じられない教師もいる。対話を通じて、真理や徳を習得していくのである。ドラマでは、さまざまな場面でこのことを体験していく。暉峻は「相互承認」」と「社会参加」の大切さを説く。
法とは何か?
大冗談に問うことはしていないが、放映中に現実とあまりにも重なることがあった。最高裁による旧優生法の憲法違反判決、静岡地裁による袴田さんの無罪判決(検察の証拠捏造指摘)・再審請求問題など。
吉田は、「「法とはきれいな水である」という答えが思いつくが、法改正の問題や尊属殺の重罰規定など、「きれいな水」だけでは補えないものもあるとわかってきて、「笹舟」を思い描く、操ることが難しく、ときには、乗り換えて、進む」と言う。
憲法14条は人として生きるための根底である。
憲法第14条は人として生きるための根底になるものであり、このドラマの骨格である。 山田よねと轟太一の事務所の壁に14条の条文が書いてある。
第十四条(一部)
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
「自分の人生を自分で決める」そのために、自分で考えることの大切さを教える。
自分とは何者か?生きると言うこと、死ぬと言うことはどういうことか?他の人のために自分はどのように役に立てるか?出演者全員が相互に実践していく。いつも重要なことを決めるために「家族会議」がある。
他にも現代の社会問題を次々と取り上げる。
相続と家族、外国人受入れ、選択的夫婦別姓、LGBTQ、尊属殺人の違憲判決など。
朝日地球会議では、二人は大きな問いを持って語り合うのだろう。