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単項イデアル〈龍孫江の環論道具箱〉

 前回は準同型の核の持つ性質を抽出してイデアルを定義しました.当面の目標は「イデアルこそが準同型の核となりうる部分集合である」,すなわち

  • ある環準同型$${A \to B}$$の核はイデアルである

  • $${A}$$の総てのイデアルはある準同型$${A \to B}$$の核として表せる

を示すことです.準同型の核がイデアルであることは定義からも明白ですから,下の主張が当面の課題です.

 この課題に取り組む前に,特徴的なイデアルの観察から始めましょう.

定義(単項イデアル)

$${A}$$を環とする.$${a \in A}$$から定まる集合$${ \{ax \mid x \in A \} }$$は$${A}$$のイデアルとなる.この形のイデアルを$${A}$$の単項イデアルといい,$${a}$$をその生成元という.

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