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素元分解の一意性〈龍孫江の環論道具箱〉

 一意分解整域(UFD)の定義の導入において,素元分解(素元の積への分解)の存在だけが提示され,一意性については特に言及がありませんでした.しかし,素元分解の存在と素元の性質によって,ある種の一意性が導き出されることを紹介します.

https://youtu.be/1hDTgU9pnGY

定理(素元分解の一意性)

素元分解は次の意味で一意的である:

$${x = p_1 p_2 \cdots p_r = q_1 q_2 \cdots q_s}$$がともに素元分解であるとき,$${r = s}$$,かつある置換$${\sigma \in \mathfrak{S}_r}$$が存在して

各$${t}$$に対して$${(p_t) = (q_{\sigma(t)})}$$

が成り立つ.□

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946字

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