
生成する部分環〈龍孫江の環論道具箱〉
1変数の多項式について,根の数などを中心に観察を続けてきました.基礎となる環が整域か否かでずいぶんと様子が異なることを見ましたが,これらを多変数の多項式環に拡張することを考えます.
代入写像の規定
環の拡大$${B \supset A}$$を固定する.$${b_1, \ldots, b_n \in B}$$に対し,準同型$${\Phi \colon A[X_1, \ldots, X_n] \to B}$$で
$${a \in A}$$に対し$${\Phi(a) = a}$$
各$${t}$$に対し$${\Phi (X_t) = b_t}$$
をみたすものがただ1つ存在します.構成法は,代入原理を繰り返し利用して行います.
定義(生成する部分環)
多項式$${f(X) \in A[X]}$$の像$${\Phi(f)}$$を,$${f(X)}$$に$${b_1, \ldots, b_n}$$を代入した値といい,$${f(b_1, \ldots, b_n)}$$のように表す.また
$${A[b_1, \ldots, b_n] = \Phi(A[X]) = \{ \Phi(f) \mid f(X) \in A[X] \}}$$
を$${A}$$上$${b_1, \ldots, b_n}$$が$${b_1, \ldots, b_nという.□
ここから先は

龍孫江の環論道具箱
環論の初歩について,基本事項をまとめます.環論を学び始めた人,もう少し良く知りたい人におすすめです.月6回ほどの更新と,おまけテキストを載…
龍孫江の群論・環論道具箱
龍孫江の群論道具箱・環論道具箱の記事を同時に読める合冊版です.それぞれ購読するよりはお得な価格設定となっております!龍孫江へのご支援を兼ね…
Twitter数学系bot「可換環論bot」中の人。こちらでは数学テキスト集『数学日誌in note』と雑記帳『畏れながら申し上げます』の2本立てです。